No.1203 変容の香り_A Scent of Transformation
本日の言葉
To seek inner peace is to enjoy peace in life; to care for others is to attain happiness. Sheng-Yen
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タイトル一覧
6116. 半法則(demi-laws):厚生経済学への関心
6117. “underlaboring”をしていく試みと今朝方の夢
6118. 一次元的世界における芸術
6116. 半法則(demi-laws):厚生経済学への関心
時刻は午前6時半を迎えようとしている。今朝は空にうっすらとした雲が浮かんでいて、朝日を拝むことはできない。
今日の最高気温は25度、最低気温は17度と涼しい1日となるようだ。また、今日は午後から雷を伴う雨が降るとのことである。
昨日の午後は結局雨が降ることがなかった。私としては雨によってもう少し地表の熱が逃れていって欲しいと思っているので、今日はちゃんと雨が降って欲しい。明日もまた午後から雨が降るとの予報が出ているので、買い物は午前中に済ませておこう。
昨日ロイ·バスカーの書籍を読んでいると、日々日記を通じて、日常世界に溢れる現象に対して普遍的な法則を見つけようとしているというよりも、絶えず変化する自己と世界の中において、ある特定の条件下における自己に当てはまる「半法則(demi-laws)」を見つけようとしていることに気付かされた。
自然科学や社会科学における科学法則も、それは決して普遍的なものではなく——例えばニュートンの物理法則も、アインシュタインによってそれが普遍的な法則ではないことが証明された——、部分的に当てはまる半法則なのだ。そのあたりの混同をしないように注意したい。
昨日はふと、アテネで訪れた大型書店の記憶が蘇ってきた。その書店では、なぜかレーニンの書籍が多く平積みされていたことが印象的だった。
ギリシャという国は今、革命を志向しているのだろうか。ひょっとしたらそれはギリシャのみならず、世界は革命を密かに志向しているのかもしれず、なんらかの変容は確かに急務のように思える。
上述のように、目には見えない半法則としての社会法則や社会規則により意識を向けていこう。それがどのような要因や意図で生み出されているのものなのかを観察し、それをどのように変えることができるのかを考えていく。それはつまり、半法則によって生み出されている構造の変容を実現させていくことに他ならない。
そのようなことを考えていると、「厚生経済学(welfare economics)」という経済学の一分野に関心を持った。厚生経済学とは、既存の経済システムや経済政策を批判的に検討し、人々の福祉の観点からその機能を改善するために、代替的な経済システムや経済政策の設計を企てる経済学の一分野である、という説明があった。
まさに厚生経済学は、経済における半法則と構造を批判的に検討するものであり、同時に私が関心を絶えず寄せている人間の解放の観点からも、非常に興味深い学問分野だと思った。フランクフルト学派が提唱した批判理論と合わせて、厚生経済学も自分なりに学んで行こうかと思う。
今月に購入する予定の書籍はすでに決めているので、来月以降に厚生経済学に関する書籍を購入することを検討しよう。フローニンゲン:2020/8/15(土)06:38
6117. “underlaboring”をしていく試みと今朝方の夢
時刻は午前6時半を過ぎた。辺りはとても穏やかであり、週末の始まりの平穏さを感じる。
今はまだ雨が降っておらず、雨は午後から降るようであり、明日に買い物をまとめて行うよりも、今日の昼前に街の中心部にジョギングがてら行き、オーガニックスーパーで必要なものを買ってきてもいいかもしれない。少しばかり天気の様子を見よう。
昨日、無事に14冊のロイ·バスカーの書籍を読み終えた。昨日は改めて、成人発達理論やインテグラル理論を活用することに際して、それが誤った形で活用されることを防ぐための “underlaboring”を行なっていくことが一つ自分に課せられた大切な役割であるように思えた。
“underlaboring”というのは元々はジョン·ロックが提唱した言葉であり、それは思想的·実践的な不純物や歪みを取り除いていくことを意味する。私たちは知らず知らず不純物のある食べ物を口にしてしまいがちであるのと同じように、不純物が混入した学習や実践を行ってしまいがちである。
そうした不純物は学習や実践を停滞させ、さらには誤った方向に導きかねないものであるがゆえに、そうした不純物を“underlaboring”していく試みは大切になるだろう。
それでは今朝方の夢について振り返り、今日も創作活動と読書に励んで行こう。夢の中で私は、大学時代のサークルの先輩2人と旅館の畳部屋で話をしていた。その旅館はおそらく日本のどこかにあるものだ。
片一方の先輩が、私に経済学か何かを教えてくれとお願いをしてきたので、私はそれを引き受けた。どうやら仕事で経済学の基礎的な概念や理論を用いる必要が出てきたらしく、そうした基礎を教えて欲しいということだった。
またもう一方の先輩からは、経済学とは違う学問領域について教えて欲しいという依頼を受けた。私は何かの役に立てるのならと思って、嬉々とした表情を浮かべて先輩からの依頼を引き受けた。
次の夢の場面もまた旅館の中だった。雰囲気からすると、1つ前の夢の場面の旅館とは若干異なっているようだった。その旅館はとても広く、歴史がありながらにして古さはなく、むしろ新しさと清潔感に溢れていた。
起床してから昼食までの時間は自由時間であり、私は旅館の中でゆっくりとしていた。そこでふと、同じタイミングで宿泊しているある知人の方とゆっくり話がしたいと思った。
その方もまた独りであることを好むタイプであることを知っていたので、迷惑にならないように、相手の気持ちを汲み取りながら話をさせてもらうように依頼をしようと思った。
旅館の大広間を通り過ぎようとしたときに、ちょうどそこにその方が座っていた。その他にも周りには何人かの人たちがいて、彼らは思い思いにお互いに話をしていたのだが、その方はやはり独りだった。
独りではあったが表情は明るく、どこか自分の内側の声を静かに聞いているようだった。すると、その方は近くにいたお坊さんにゆっくり話がしたいと述べ、ちょうどそのお坊さんは忙しかったので、対話相手として私と話をするように勧めてくれた。
そこからその方と私は場所を移動し、こじんまりとした日本庭園が見える軒先に移動し、そこでゆっくりと対話をすることにした。フローニンゲン:2020/8/15(土)07:07
6118. 一次元的世界における芸術
時刻は午後7時半を迎えた。今、穏やかな夕日がフローニンゲンの街に降り注いでいる。
昨日から秋の入り口に入り、夕日がより穏やかになったように感じる。光の強さがすっかりと秋のそれなのだ。
本日は昨日と同様に、天気予報に裏切られた。結局今日は雨が一滴も降らなかった。本来はそれを喜ぶべきところなのだが、さらに地表を涼しくするために、私は雨を望んでいた。
今日の深夜と明日の午後には雨が降ると予報が出ているが、それが当たるのかどうかも今となっては怪しい。明日は雨が降っていない時間帯を見計らって、街の中心部のオーガニックスーパーに買い物に出かけようと思う。
今日は、ハーバート·マルクーゼの“Art and Liberation”の再読を始めた。初読の時には見逃していたことが随所にあり、また初読時に比べて随分と本書の内容が頭に入ってきたように思う。
それは初読の時と比べて自分自身が変容を遂げたことの現れであろうし、マルクーゼが本書で行っている主張が今の私の関心に響いていることの現れだろう。
自己の具体的特異性(concrete singularity)を具現化させる芸術は、マルクーゼが述べる画一化された「一次元的世界(one-dimensional world)」の変容に資する。しかし注意しなければならないのは、この現代社会においては芸術までもが一次元的なものの支配下に置かれ、一次元的なものになっていないかということである。
つまり、本来社会の画一化と抑圧を解放させることに力を発揮する役割を果たしていた芸術が、画一化された社会の中で物質消費対象とみなされ、商品化され、それによって芸術そのものが画一化されることによって、社会を解放させる力が発揮できなくなってしまっている可能性はないかということである。
既存の社会構造から脱却することに力を発揮していた芸術が、既存の社会構造の枠組みの中に組み込まれ、消費され、画一化されることによって、既存の社会構造をより強固なものにしてしまうことへの危惧がある。
社会を変容させ、個人に解放をもたらす芸術の本来の性質を取り戻すこと。芸術の本来の性質を覆っている諸々の社会的不純物を“underlaboring”していくこと。そこに焦点を当てて実践をしていこう。
治癒·変容·解放の担い手としての芸術家の役割。それについても合わせて考えていた。
美学について様々な観点から学ぶことによって、芸術と芸術家の役割についてこれまで見落としていた大切なものをいくつも見つける。この社会に治癒·変容·解放をもたらす芸術と芸術家の意義について、ここからまた多角的に考察を深めていこう。フローニンゲン:2020/8/15(土)19:35