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3909-3911:パリ小旅行記 2019年3月3日(日)


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3909.【パリ小旅行記】パリ滞在の四日目の朝に

3910.【パリ小旅行記】国立ピカソ美術館を訪れて

3911.【パリ小旅行記】ピカソのあり方から学ぶこと

3909.【パリ小旅行記】パリ滞在の四日目の朝に

時刻は午前八時を迎えた。パリ滞在の四日目が始まり、今日はいよいよ国立ピカソ美術館に行く。美術館はホテルから歩いて30分弱の距離であり、今改めて調べると開館は午前九時半とのことであった。

今日はこの美術館に訪れることしか用事がないため、それほど早く美術館に行く必要はないので、美術館が開館する時間ぐらいにホテルを出発しようと思う。

今日でパリの滞在は四日目なのだが、この街で長く生活しているような感覚がある。欧州での生活を始めて以降、ヨーロッパの様々な国と地域に旅行に出かけ、そうしたことが影響をしてか、新たな土地への適応が速やかに行われるようになっている気がする。

もちろんそれは表面的な適応であり、実際にそこで生活をしてみなければわからない葛藤を乗り越えてからもたらされる真の適応ではないことは確かだ。いずれにせよ、今は表面的な適応が行わているような状態にある。

ただし、やはりこの国は、隅々までフランス語で構築されているため、フランス語という言語空間に自己を投げ入れることは難しい。当然ながら、フランスでも英語が通じることは多いが、昨日の日本食レストランのように、中には英語がほとんどしゃべれない人がまだいる。

そうした状況が依然としてフランス、しかもその中心であるパリにも残っている。そうしたことが、フランス語を話せない私にとって、この国との心理的な距離を深めることになっているように思う。

フランス語が支配的な言語空間に浸っていると、自分の中の日本語は完全に沈黙し、英語までもが麻痺するような感覚になるから不思議である。オランダではそのようなことを体験することはあまりなく、強いて挙げるとすれば、一年目の最初の頃にそのような体験をしていたかもしれない。

オランダ語の基礎を学んだことによって、そうした感覚は徐々に薄れていったように記憶している。そうしたことを考えると、やはりその国の主要言語の基礎を学ぶことが、言語的な麻痺状態を改善してくれることにつながるのだろう。そのようなことをふと考えていた。

パリ滞在の四日目の朝は、驚いたことに、記憶に残る夢を見なかった。いつもはおぼろげながらでも何かしらの夢を覚えているのだが、今日に関しては全く記憶にない。

もしかすると、昨夜今後の生活地についてあれこれと考えていたことが睡眠の質に影響し、その結果として夢を見なかったのかもしれないと思う。いずれにせよ、こうした珍しい事態があったことを書き留めておく。

幸いにも、この夏からの生活地をどこにするのかを決めることができたため、今夜は夢を見るのではないかと思う。

今から少しばかり作曲実践をして、一曲作ったら身支度をし、国立ピカソ美術館にゆっくりと向かいたい。パリ:2019/3/3(日)08:39

No.1728: In a Wintry Memory

The last day to stay in Paris is approaching the end.

I’ll come back to Groningen tomorrow and lead the same life as before. Paris, 21:50, Sunday, 3/3/2019

3910.【パリ小旅行記】国立ピカソ美術館を訪れて

今日は午前中に国立ピカソ美術館に足を運んだ。幸いにも、ホテルを出発する時は雨が降っておらず、寒さも厳しくなく、歩くのには丁度良い気温であった。

ピカソ美術館に到着し、すぐにチケット売り場に向かったところ、今日はなんと無料で入館できる日とのことであった。私はそれを狙って今日訪れたわけではないため、この偶然には嬉しく思った。

この美術館は、地下一階から地上階を含めると、合計で五階建ての建物である。美術館に訪れるまでは、もう少し大きな美術館だと思っていたのだが、五階建てとはいえ、中はそれほど広くはなかった。

所蔵されている作品は、もちろんピカソのものがメインだが、ピカソに影響を与えたルノワールやモジリアーニの作品なども所蔵されている。この美術館は、ピカソの作品をもっとも多く所蔵しているとのことであったが、印象としては多くの作品が所蔵されれているとはそれほど思えなかった。

ピカソは偉大な画家であることは確かだと思うが、所蔵されている作品から何か喚起されるものがあったかというとそうではない。ピカソは、一生涯にわたって膨大な数の作品を残した点には大変感銘を受けるのだが、作品そのものに対しては、それほど感銘を受けていない自分がいる。

ピカソの作品の中に顕現されている美と自分の美的感覚が合致していないためにそうしたことが起きているのかもしれない。ピカソの作品を見ながら、全く画風の異なるモネの作品をぼんやりと思い出していた。

昨年の六月にロンドンのナショナルギャラリーに訪れた際に、私はモネの特別展示を見る機会に恵まれた。そこにはモネの傑作が多数展示されており、一つ一つの作品から私は、実に多くの刺激を受けていた。

今日は残念ながら、そうした刺激はほとんどなかったように思う。もちろん、ピカソの作品に対しても、彼の作品の中に固有の美を見出し、多くの刺激を得る人もいることだろう。

だがピカソの作品は、モネの作品と比べて、理解するのが難しく、そこに現れているはずの美を汲み取るのが困難なものが多いように思う。そのようなことを考えていると、多くの人に美を実感させることのできるモネの作品の方が親切だと言うことができるかもしれない。

玄人にしか理解できない美と、絵画芸術の素人にも理解でいる美の双方には、違う価値があり、どちらも共に貴重なものではあるが、私はピカソの作品よりも、モネの作品を好む傾向にあるようだ。今日の美術館訪問は、そうしたことを改めて実感させてくれる体験を提供してくれた。

とはいえ、ピカソの芸術に全く関心がないかと言えばそうではなく、事実今日この美術館に訪れたように、ピカソの芸術家としての生き様や、ピカソがどのようにして絵画技術を高めていったのかは大いに関心がある。

そうしたこともあり、美術館のギフトショップで、この美術館が出版しているピカソの画集を二冊ほど購入し、ピカソの生涯を描いたドキュメンタリーDVDを購入した。今日の夜に時間を作って、画集を眺め、DVDはフローニンゲンに帰ってから視聴したいと思う。パリ:2019/3/3(日)15:50

3911.【パリ小旅行記】ピカソのあり方から学ぶこと

時刻は午後の八時を迎えた。これから日記をもう少し綴り、その後に作曲実践をしてから就寝に向かいたい。

明日は10:18にパリ北駅を出発する列車に乗ってスキポール空港駅まで向かう。そこで一度乗り換えをし、フローニンゲンに到着するのは午後の四時ぐらいになるだろう。

明日は午前九時半をめどにホテルのチェックアウトをし、パリ北駅でコーヒーと昼食を購入してから列車に乗りたいと思う。

本日訪れた国立ピカソ美術館の記憶を少しばかり辿っている。特に、ピカソが収集していた他の画家の作品について思い返していると、ルノワール、セザンヌ、ドガ、モジリアーニなどの作品があったのを覚えている。

美術館で購入した画集を眺めていると、ピカソは過去の偉大な画家のみならず、同時代の偉大な画家からも絶えず学びを得ていたということが書かれていた。ピカソは晩年においても学びを続け、自らの絵画制作技術を絶えず発達させることに積極的であったことが窺える。

ピカソは膨大な絵画作品を残し続けたのみならず、絵画の探究をし続ける人間だったのだ。その点に、私も見習うべきことが多々ある。

絶えず自ら作品を創出し続けていくのに合わせて、絶えず創造の探究をし続けていきたいという思いを新たにする。

明日からは再びフローニンゲンでの生活が始まる。探究活動と創造活動は不可分な関係をなしており、ここからはそれらの活動に本腰を入れていきたいと思う。

言うまでもなくそれは、作曲に関する探究と創造だ。そうした探究と創造を通じて、人間が生きるとはどういったことなのか、人間発達とは何か、人間の霊性とはいかなるものなのかに関する理解を深めていく。

上記の事柄以外にもピカソに共感したこととしては、以前の日記で書き留めていた、創造活動は未知との遭遇であるという点をピカソも明確に認識していたことである。ピカソは、毎回絵を描き始める時に、無の境地に至る感覚があると述べている。

絵を描く前の段階においては、自分がどのような場所に向かっているのかわからないが、ひとたび絵画が出来上がると、自分がどこにいたのかを知るという興味深いことを述べていた。まさに創造活動は未知なるものへと向かっていくことなのだ。

いや、そもそも未だ未知なるものが主体となって創造を開始しているという点において、二重の未知性を孕むのが創造活動の本質だと言えるかもしれない。本日訪れた美術館に所蔵されている作品からは直接喚起されるものは少なかったが、ピカソの言葉や生き様からは学ぶべきことが多かったように思う。

フローニンゲンに戻ってから、本日購入した画集とドキュメンタリーDVDを視聴することによって、ピカソの創造活動の秘密について少しずつ紐解いていきたいと思う。パリ:2019/3/3(日)20:18

 
 
 

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