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3846. アリス=紗良・オットさんのフローニンゲンでのコンサート


時刻は午後の五時に近づきつつある。午後に仮眠を取り、そこからラヴェルに範を求めて一曲ほど作った後に、近所の河川敷のサイクリングロードにランニング兼散歩を兼ねて外出した。

サイクリングロードを歩いている最中は、小鳥の鳴き声が良く聞こえ、そのたびに意識の深い層に誘われているかのような感覚があった。

本日の世界は、恍惚感をもたらしてくれる陽だまりで溢れていた。太陽の光には生命を包み込む愛情があるらしく、そうした愛情の中に溶け込んでしまいそうな感覚があった。

昨日は、近所のノーダープラントソン公園へ出かけたのだが、土曜日の午後を公園で過ごそうとする人があまりにも多かったため、今日は人の少ないサイクリングロードに行くことにした。

このサイクリングロードでは、太陽の光を浴びながら、空と河川の双方を眺めることができる。そしてそれらは、いつも私を清々しい気分にさせてくれる。休日は、ノーダープラントソン公園へ行くことを避け、このサイクリングロードを歩くことにしたい。

サイクリングロードの終着地点まで来て、踏切を渡ったとき、遠くの方から美しい鐘の音が聞こえてきた。私は思わずその場に立ち止まり、その鐘の音を聞いていた。

しばらく鐘の音に意識を向け、再びゆっくりと歩き始めた。鐘の音を聞いているとき、フローニンゲンの街に宿る土着神と触れているような感覚があった。この街で鐘の音を聞くときはいつも、フローニンゲンが培ってきた文化的堆積を実感する。

鐘の音が止んで、再び足を踏み出したとき、自宅の近くの道路脇の看板に、見覚えのある顔が見えた。近づいて見てみると、ピアニストのアリス=紗良・オットさんの看板だった。

なにやら、ちょうど一ヶ月後の3/16(土)に、フローニンゲンのコンサートホールでコンサートを開催するとのことであった。

今から2017年の冬のある日、書斎の窓から自宅の前の道路脇の看板を眺めた時、そこにはポルトガルのピアニストであるマリア・ジョアン・ピレシュの顔が見えた。自室からでもそれがすぐにわかり、私はすぐに調べてコンサートを予約し、フローニンゲンで開催されたコンサートに実際に参加した。

その時と同じぐらいに偶然にも、今回オットさんのコンサートがフローニンゲンで開催されることを知ったのである。道端の広告看板というのは、実に古典的なマーケティング方法だと思うが、私のように、これを見てコンサートに参加する人間もいるのだから、やはり意味があるのだろう。

ちょうど3/16は何も予定がなく、ぜひコンサートに足を運びたいと思う。音楽関係のコンサートは少し時間が遅く、始まりが午後の八時過ぎ、終わりが午後の十時過ぎであり、普段は就寝している時間だが、こうしたコンサートは滅多にないのであるから、その日ぐらいは例外として受け止めたい。

ちょうど来週の木曜日からパリにぶらりと足を運ぶ予定を立てており、偶然ながら、オットさんのコンサートのプログラムもフランスの作曲家の曲で構成されていた。

2019年3月16日(土)のプログラム

Debussy: Ce qu'a vue le vent d'ouest

Debussy: Bruyères

Debussy: General Lavine

Debussy: La Cathédrale engloutie

Ravel: Concert for piano and orchestra

Berlioz: Symphonie fantastique

Conductor: Antony Hermus | Pianist: Alice Sara Ott

そもそも私がオットさんの演奏を知るきっかけになったのは、今から二年前の夏に、ノルウェーのベルゲンに滞在していた時だった。その日はちょうど、エドヴァルド・グリーグの博物館に足を運び、ホテルに帰ってきてからグリーグの曲をSpotifyを経由して調べていたところ、彼女のアルバム“Wonderland”を見つけた。このアルバムを聴くたびに、ベルゲン滞在の思い出が蘇る。

今回オットさんのコンサートの開催を偶然に知ったことも何かの縁であり、早速チケットを購入した。当日のコンサートを今からとても楽しみにしている。フローニンゲン:2019/2/17(日)17:11

 
 
 

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