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3810. 死への感性


時刻は七時を少し過ぎたところである。窓の外を眺めると、まだ七時半を回っていないのだが、辺りは真っ暗闇ではなく、空がダークブルーに変わり始めている様子を見ることができる。

今、小鳥が鳴き声を上げた。少しずつ日照時間が長くなり、日が昇るのが早くなっているのがわかる。

書斎の開放的な窓に面した形で机を配置しており、私は四六時中外の景色を眺めることができる。そうしたことを毎日何気なく、時には意識的に行っていると、景色の変化がつぶさにわかってくる。

これから少しずつ冬の色が薄くなっていき、春の色が濃くなっていくだろう。また、冬の音が小さくなり、春の音が大きくなり始めるだろう。春の到来がとても楽しみだ。

昨日は、死という現象を文化人類学的・社会学的に探究したアーネスト・ベッカーの書籍を何冊か本棚から取り出し、そのうちの一冊を再読し始めた。本日も、音楽理論の学習の傍らに、ベッカーの書籍を読み進めていこうと思う。

ここからしばらくは、ベッカーの “The Birth and Death of Meaning: An Interdisciplinary Perspective on the Problem of Man (1971)” “The Birth and Death of Meaning: An Interdisciplinary Perspective on the Problem of Man(1971)” “The Denial of Death(1973)”の三冊と、エディス・ワイスコグロッドの“Spirit in Ashes: Hegel, Heidegger, and Man-Made Mass Death (1990)”、そしてオットー・ランクの“Art and Artist: Creative Urge and Personality Development (1989)”を読み進めていこうと思う。

それらは基本的にはすでに一読しているのだが、中にはまだ一度も全体を通して読んだことがないものもあるので、今回はゆっくりとそれらの書籍を読み進めていきたい。

日々、芸術への関心が高まる一方で、それに足並みを合わせるかのように、死への関心が高まっていく。当面は、ベッカーのように、死という現象を文化人類学的・社会学的な観点と、芸術との関係性の観点から探究をしていく。

今後はおそらく、現象学的、さらにはトランスパーソナル心理学との関係からそのテーマを探究していくことになるだろうと予感する。いずれにせよ、上記の五冊は死に関する探究を深めてくれることは間違いないであろうから、これから春にかけて、何度も繰り返し読んでいく。

生命が誕生し、生命力を強く感じられる春に向けて死に関する書籍を読んでいくというのは不思議だが、死はいつでもどこでも、私たちの近くにいる。生命が存在するところには、絶えず、そして即、死が存在しているのだ。

ふと、意識の発達、ないし内的発達とは、死への感性を育んでいくことなのではないかと思った。死への感受性を育み、それを深めていくことが、人間発達における極めて重要なことであるように思えてくる。

私が死という現象に強く関心を持ったのは、本当にこの一、二年以内の話である。ひょっとすると、死への関心の芽生えのようなものは、すでにこれまでの人生のどこかであったのかもしれないが、その関心が芸術との関係性や、これまで探究していた人間発達と紐づく形で発露されることはこれまでなかったように思う。

おそらくその背景には、やはり自分の内側の何かが変容したのだろう。それをきっかけにして、死の探究が始まったと言える。

アーネスト・ベッカーは非常に洞察溢れる思想家であり、彼の書籍の中で面白そうなものは、近い将来に全て読んでおこうと思う。備忘録としては、下記の書籍を今後購入しようと思う。

1. The Birth and Death of Meaning: A Perspective in Psychiatry and Anthropology (1962)

2. Revolution in Psychiatry: The New Understanding of Man (1964)

3. Beyond Alienation: A Philosophy of Education for the Crisis of Democracy (1967)

4. The Structure of Evil: An Essay on the Unification of the Science of Man (1968)

5. Angel in Armor: A Post-Freudian Perspective on the Nature of Man (1969)

6. The Lost Science of Man (1971)

フローニンゲン:2019/2/11(月)07:38

No.1668: Toward the Edge of Dark Nebula

Some sounds go to the edge of dark nebula, and others come from there. Groningen, 08:43, Tuesday, 2/12/2019

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