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3593. 桃源郷の渓流を下る夢


時刻は午前八時に近づいてきた。依然として、外の世界は闇に包まれている。

今日は金曜日であるから、この時間であれば、こうした暗闇の中でも通勤や通学をする人たちの姿を見ることができるかと思ったが、人の姿をあまり見かけることはなかった。オランダもすっかりと年末の休息の雰囲気が漂う。

先ほどまで、今朝方に見ていた夢について振り返りをしていた。夢を見て、それを書き留めることが治癒や変容の効果を持ち得ることについては以前言及していたと思う。

自分がよく見る夢について改めて考えてみると、この歳になっても、幼少期や小中学校時代の出来事と関係した夢を頻繁に見ていることに気づく。それらの夢を振り返り、夢日記を綴ることは、積み残しになっている過去の発達課題と向き合う機会となり、さらには当時の何らかのことがきっかけになって生じた心の傷を癒すことにもつながっているのだということが見えてくる。

夢日記を書く意義は、そうした積み残された発達課題と向き合うことや過去の心の傷を癒すことにもあるようだ。夢日記を綴ることが、一つの重要なシャドーワークだと言われる所以はそこにあるだろう。

実は今朝方は、最後にもう一つ印象深い夢を見ていた。この夢も自分にとって示唆に富むものであり、忘れがたい夢の一つであった。

夢の中で私は、おそらく日本のどこかの片田舎の町にある畑道を歩いていた。私は一人でその畑道を歩いていたわけではなく、小中学校時代の友人と一緒に歩いていた。

その畑道をさらにまっすぐ進んでいくと、小高い山があり、今から私たちはその山を登ることになっていた。山に近づいていけばいくほどに、その畑道は傾斜を持つようになった。

緩やかな傾斜を持つようになった畑道を歩いていると、自分の靴紐がほどけかかっていることに気づいた。そのため、私はその場で立ち止まり、靴紐を結びなおそうとした。

すると、一緒に歩いていたうちの一人の友人がその場で立ち止まってくれ、私が靴紐を結び直すのを待ってくれた。私はその場にかがみ込み、靴紐を結び直しながら、その場で少し彼と話をしていた。

:「あれっ、今気づいたけど、今日は右足の方だけ靴下を履いてないみたい」

友人:「えっ、自分はいつも靴下を履いてないよ(笑)」

友人は笑顔でそのように述べた。今から登山をするというような場合であっても、その友人はお構いなしといった様子で、素足で靴を履いているようだった。

靴紐を結び直した私は、待ってくれていたその友人にお礼を述べ、再び畑道を歩き始めた。前方に見える緑豊かな山を眺めていると、とても清々しい気持ちになった。

しばらくして山道に入ると、そこは思ったよりも険しい道だった。というよりも、普通の姿勢で歩くことができず、傾斜面を手を用いながら登っていく必要があった。

私は随分と疲弊してしまったのだが、なぜかその時に突然、「好きなことに好きなだけ従事する」という言葉が脳裏に浮かんだ。その言葉が私に活力を与えてくれたようであり、そこから何とか傾斜面を登って行った。

すると前方に、小さな小川が見えた。その小川は、山頂から山の麓まで流れているらしかった。

私はその小川に身を投げ入れたい気持ちに駆られたが、前を行く友人たちが、「それは偽物の小川だ」と私に警告してきた。前を行く友人たちは続けて、「あそこに見えるのが本物の桃源郷だよ」と向こう側を指先ながら述べた。

見るとそこには、美しい川が流れていた。どうやら私たちは、その川を見るためにこんな険しい山道を歩いてきたようだった。さらに述べると、私たちはその美しい川を山頂から山の麓まで下っていくことを目的にしているようだった。

私は最後の力を振り絞りながら、途中に何本も流れている偽物の小川を横目に、目的の桃源郷に向かった。そして、無事にそこに辿り着いた瞬間には、大きな喜びと安堵感があった。

一緒に畑道を歩き、山道を登ってきた友人の全員がそこに無事に辿り着けた。今から私たちが行うのは、桃源郷を美しく流れている川に身を投げ入れ、山の山頂から麓まで流れていくことだけである。

早速友人の一人が渓流下りを始めた。川に身を投げ入れた瞬間に、その友人は歓喜の雄叫びを上げ、早い川の流れと一緒に一気に川を下って行った。

そこから次々と友人たちが川に身を投げ入れ、渓流下りを始めた。私はしばらく桃源郷の景色を眺め、十分に景色を味わったと思った後に、川に身を投げ入れた。

先ほど友人が歓喜の雄叫びを上げていたことが納得できるかのように、山の麓に向けて川を下って行くのは爽快感に満ちていた。川を下る速度がどんどん増せば増すほど、他では味わったことのない興奮がそこにあった。

時間を忘れるほどに川下りに夢中になっていると、前方に山の麓が見えた。そこには、金沢の城下町を彷彿とさせる美しい街並みが広がっていた。フローニンゲン:2018/12/28(金)08:21

No.1522: Brightness of a Light Rain

It started to drizzle in the afternoon, and it is still raining.

Raindrops on the window are emitting cold brightness. Groningen, 15:31, Saturday, 12/29/2018

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