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3515. 転調の技術と各人それぞれの美的感覚


時刻は午後七時半を迎えた。本日の活動時間も残すところ一時間半となり、九時から少々リラックスをして、10時には就寝しようと思う。

日記の執筆や読書、そして作曲実践や協働プロジェクトなど、複数の領域を一日の中で往復していると、あっという間に時間が経つ。早朝の六時や六時半頃からいつも活動を始めるのだが、そこから夜の九時までは疲労感を感じることなく、ただ充実感の中で時間を過ごすことができている。

自らの人生を真に歩むようになってから、全ての活動が充実感をもたらすものに変容し、絶えず幸福感を感じながら時間が過ぎていく。今日もそのような一日であった。

今からちょうど二時間半前に、成層圏の輝きを反射した美しい夕暮れを見ることができた。夕方の空には雲ひとつなく、空が幾層もの異なる色として顕現していた。今改めてその美しさを思い出している。

本日の作曲理論の学習においては、メロディーと転調について学んだ。メロディーの創出も転調の技術も本当に奥が深い。

とりわけ今は転調の理論に強い関心を持っている。例えば夕方に見た空の美しさを表現するときに、転調の技術は不可欠だろう。

画家が異なる色を用いながら絵を描いていくように、音楽上の各調は異なる色を持っている。そうした異なる色を用いながら曲を生み出していきたい。

成層圏の輝きを反射した夕方の空を表現する際に、まずはそれ全体を眺めた時に感じる感覚を何かしらの調によって表現していく。そこからは、時間の移り変わりによって変化する空の表情を様々な調を用いて表現してもいいし、自分自身の感情の移り変わりを様々な調によって表現しても良い。

あるいはある一点の時刻において空を描写する際にも、空の色の違いを異なる調を用いることによって表現できるだろう。このように、転調の技術を活用していけば作曲上の表現の幅は格段に広がるように思える。

また、夕食前に作曲理論に関する書籍を読んでいると、調の重力関係に関する記述があり、大変興味深く思った。例えば、長調からシャープ系の調に転調する際には、重力に逆らうような力が働き、一方でフラット系の調に転調する際には、重力に沿って自然に下に進む感じがあるという解説は面白い。明日の作曲実践の際に転調を活用する時に、その点についても意識をしようと思う。

それともう一点、音楽理論とはつまるところ、美しく響く音を探究した理論体系だと思うのだが、美しい響きに関してはある一定程度の普遍的な感覚が私たちに備わっていながらも、当然ながら何を美しいと思うかは人によってかなり差があるということを改めて思った。

興味深い出来事として、現在作っている曲はどれもMuseScoreのウェブ上で共有しているのだが、「これはいまいちだな」と思った曲に対して、どこかの国の人が賛辞のコメントを送ってくれていることが何度かある。

自分にとってはあまり綺麗な響きではなく、全体として味気ない曲だなと思っていたものが、他人にとってはそうではないことがあるのだということを知る。おそらくそれとは逆に、自分がいいと思った曲に関しては、他人の人は何も感じないということもあるのだろう。

人の美的感覚とはつくづく面白いものである。そこにはやはり個性のようなものが隠されている。フローニンゲン:2018/12/12(水)19:43

過去の曲の音源の保存先はこちらより(Youtube)

過去の曲の楽譜と音源の保存先はこちらより(MuseScore)

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