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3463. 日常=夢=旅


私は人間発達を一つの探究領域として研究や実務を行っているが、究極的には人間発達を超えて、人間存在に関する探究を続けているのだと思う。そうした探究を継続していても、一向に人間存在がわからないというのが正直なところだ。

自分という人間についてもまだまだわからないことだらけである。確かに、人間存在に関する探究を継続させていくことによって、徐々に自己の様々な側面や特質などが見えてきているのは確かだ。

しかし、そうした明らかになっていく量をはるかに超える形で、未知な事柄が自分の内側に渦巻いていることを知る。

夢の分析にせよ、作曲にせよ、内的感覚をデッサンすることにせよ、はたまたこのように日記を書き留めることにせよ、今私は考えられるありとあらゆる手段を用いながら自己を知ろうとしているように思えてくる。

それでも捉えがたい側面がある自己の存在には、圧倒されるものがある。

言葉になるものは言葉にし、言葉にならないものはそれが求める形にしていくということ。自己の内側に潜む無数の未知な事柄に対して圧倒されるのではなく、引き続きあらゆる方法で自己を深く知っていこうと思う。

つい先ほどまで、「父殺し」を主題とする夢について書き留めていたが、その夢を見て一度目を覚まし、そこから再び就寝した後にも別の夢を見ていたことを思い出す。

その夢の中では、私は瀬戸内海を彷彿とさせる砂浜にいた。砂浜をしばらく歩いていると、左手に工場が見えた。なんの工場だろうかと気になったので、工場の中を覗いてみようと思い、工場に近づいていった。

工場の中を見ると、いくらをパッケージに入れるような作業をしている人たちの姿を見かけた。ふと私は工場の中に入り、作業をしている人たちに話しかけてみた。

すると、作業員の中に私の友人がいて、何をしているのかを尋ねてみた。何やら、それはいくらを商品として世に送り出すための作業ではなく、いくらの成分を研究しているのだという。

興味深く思った私は、友人から色々と話を聞いた。すると友人が突然いくら以外のものを私に見せた。

友人:「これは三ヶ月前の生肉ね」

:「三ヶ月?それもう腐ってない?変色してるよ」

友人:「そうかなぁ〜。まだ食べられると思うよ」

友人はそのように述べると、パッケージの中から生肉を取り出し、トレイの上に置き、匂いを嗅いだ。すると、どうやらやはりその肉は腐っているようだった。

その時、夢の中の私は、「こうした肉でも美味しそうに食べる人間がいる」とふと思っていた。そうした考えが脳裏をよぎった瞬間に、夢の場面が変わっていた。

今度は、私はレストランの中にいて、注文を待っていた。厳密には、注文することを待っていた。

すると、注文を聞きに来た男性がやってきて、見るとそれは、私の小中高時代の友人だった。偶然そこで友人と再会したことに驚き、注文すること忘れるぐらいに昔話に花が咲いた。

思い出話がひと段落したところで、いざ注文しようと思った時に、遠くの方から、皿が割れる音が聞こえてきた。見ると、ある一人の男性客が、床に皿を落としてしまったようだった。

私は友人に注文は後でいいから、あの客の対応を優先するように述べた。友人は急いでその客のもとに駆け寄り、丁寧な対応をしていた。その様子を眺めていると夢から覚めた。

今朝はそのような夢を見ていた。昨夜就寝前に、夢を見るというのは、どこか旅に出かけるのと等しいのではないかとふと思った。その気づきを、枕元に置かれている裏紙にメモしていた。

確かに、夢を見るというのは旅に出かけていくことと似ている側面が多々ある。夢の中にはとても印象的な世界が広がっていて、それは旅に出かけ、見知らぬ土地が印象的な世界に見えるのと非常に似ている。

また、夢から喚起されるものも旅と似ているように思えてくる。大きな観点で見れば、夢も旅も、私たちに治癒と変容をもたらし得るものとして存在している。

さらには、一つの夢が固有なものであるのと同様に、一つの旅も何ものにも代えがたい固有性を持つ。そのようなことを考えていると、どこか旅日記を綴ることと同様の価値を、夢日記が持っているように思えてくる。

そして、実は何気ない日々を綴る日記の価値もそれらに劣るものでは決してないことがわかってくる。そうなれば、「日常、夢、旅の間には、何か境界線があるのだろうか?それらはすべて等しいものであり、等しく尊いものなのではないだろうか」という考えが浮かぶ。

日常、夢、旅が、一本の線で繋がれている。あるいは、それらが一つの全体に溶け出している姿を見て取ることができる。

今日もこれから、日常という夢と旅の中で活動を続けていく。フローニンゲン:2018/11/30(金)07:48

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