時刻は午前11時に近づきつつある。早朝にテレマンに範を求めて作曲実践をし、その後、芸術教育の歴史に関する書籍の再読を行っていた。
今その書籍の再読は3分の2ほど終わったところである。この調子で読み進めていけば、午後の早い段階で再読が終わるであろうが、これから昼食にかけては、ザカリー・スタイン博士の書籍を読んでいくことにする。気分転換を兼ねて、複数の書籍を並行して読み進めていくことは自分の特性に合致している。
この時間帯のフローニンゲンはとても穏やかであり、今日が日曜日ということもあって、その雰囲気はよりいっそう平穏だ。一階の部屋には庭がついており、その庭の植木を眺めると、鮮やかに紅葉した木々が見えた。
眩しいほどの美しさを持つ紅葉した葉をぼんやりと眺めながら、再び読書に取り掛かったのは先ほどの出来事だった。早朝より、朝焼けの変遷を眺めていたが、今はすっかり明るくなり、ここからもまだまだ表情豊かな一日が進んでいくと思われる。外の世界の変化に歩調を合わせるように、自分の取り組みに従事していく。
午前中読んでいた書籍の中で、教育思想家のフリードリッヒ・フローベルの仕事に行き着いた。フローベルの教育思想に関する書籍は、フローニンゲンに来た最初の年か、その前年に日本にいた時に購入していたのだが、まだほとんど読んでいないことに気づいた。
午前中に読んでいた書籍の内容をもとにすると、フローベルは、随分とダイナミックシステム理論に通じる思想を持っていたことがわかる。また、人間発達に関して優れた洞察を持っていたことも分かった。
とりわけ、人間の発達を有機的な現象だと捉え、人間存在を決して無関係な部分の単なる合算だと見なすことはしなかったという発想に、フローベルの洞察の深さが伺える。また、フローベルが、のちに発達心理学の進展によって明らかになった発達原理の一つである、差異化と統合化についても、同じことを当時提唱していたことを知った。
フローベルの人間発達観として、私たちは絶え間なく質的な差異を生み出すという差異化によって発達をしていきながらも、自己の同一性を保持するという特徴を持っている、という考え方がある。これは発達心理学の発想そのものではないかと思う。
それ以外にもフローベルに関して共感の念を持ったのは、彼はペスタロッチの教育思想に範を求め、子供たちの中にある霊性を認め、それをどのように育んでいくことができるのかに情熱を注いでいた点である。芸術教育と関係して、霊性教育に強い関心を持っている私としては、ぜひともフローベル及びペスタロッチの教育思想も深く学んでいく必要があるだろう。
ペスタロッチの教育思想に関する書籍はまだ持っていないようなので、近々調査をし、いずれかの書籍を購入したいと思う。フローニンゲン:2018/10/14(日)11:09
No.1349: A Step from A Mist
I saw a mist in the early morning, but it disappeared now.
As the world made a step forward, I’ll engage in my lifework from now in order to make it move forward. Groningen, 08:42, Friday, 10/26/2018