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3241. 外国語を学ぶ意義


先ほど昼食を摂り終え、昼食後は午前中に取り掛かっていた教育哲学書の続きを少し読んでいた。目の前の通りを一台の救急車が通り過ぎていった。

秋の冷たい風が街路樹を揺らしている。欧米での生活も七年目を迎え、その生活が長くなればなるほど、自分の内側にある英語空間の存在が強さを増している。

まだわずか七年しか欧米で生活をしていないことを考えると、これから自分の内側の英語空間はより発達を遂げていくだろうと思われる。このあいだの日記に書き留めていたように、日本語として読んでいる文章は自分の日記だけになりつつある。

おそらく今年のどこかでまた、日本語を無性に読みたくなる時期が訪れるであろうから、その時に本棚の和書に手を伸ばせばいい。それまでは、思う存分に英語空間の中で探究を続けていく。

英語空間の中での生活が長くなるにつれて、英語に限らず外国語を学ぶ意義を強く実感する。外国語はよくコミュニケーションのための手段にすぎないと言われるが、それは外国語の持つ根本的な自己変容作用を見落としていると思われる。

外国語を深く学べば学ぶだけ、母国語の空間で構築されているありとあらゆるものを客体化することが可能になってくる。それは文化や制度のみならず、自分自身も含まれる。

基本的に私たちの自我の大部分は、母国語で形成されている。仮に帰国子女ではなく、生粋の日本人であれば、自我のほぼ全ては母国語で構築されていると言っても過言ではないだろう。

発達プロセスのある段階に到達すると、必ず乗り越えていかなければならないことがある。一つには、自国の文化的な慣習であり、もう一つは母国語で構築してきた自我そのものである。

人間発達の観点を用いると、外国語を学習する最大の意義は、まさに自国の文化的な慣習と日本語で構築された自我そのものを客体化することにあると思われる。残念ながらこれは、外国語を学習しなければ実現されることはほどんとない。

仮に哲学者のように日本語を通じて絶えず自己を取り巻く文化と自己そのものを客体化させることをしない限り、外国語を学ばなければそれらの客体化をすることは極めて困難だと思われる。人間発達について探究を深めていくと、外国語の学習を、「コミュニケーションのための手段」という言葉で済ますことなど間違ってもできない。

言語は私たちの精神生活の奥深くにまで浸透しており、奇妙なほどに巨大な根を無数に張り巡らせていることを考えれば、言語をコミュニケーションのための道具に貶めることなどできはしないだろう。

ここ最近、人間発達に関する文献を紹介することが何度かあった。日本人がどれだけ英語を苦手としているかは十分に承知だが、とりわけ人間発達に関して日本語の文献を期待することはできないと言わざるをえない。

現在、成人発達理論に関する日本語の書籍が何冊か世の中に存在しているが、それは人間発達に関する英語の文献の量とは比べ物にならないほど少ない。人間発達に関して関心があるのに、英語の文献を自ら読もうとしない人が多くいることは理解に苦しむが、自分の経験上、一年間ほど集中して英語の文献を読み続けていけば、それなりに英語が読めるようになってくると思う。

もし自分の関心分野の文献が英語以外の言語であっても、一年間ほどその言語空間に浸って文献を読み続けていけば必ずある程度読めるようになってくると思う。このようにして獲得された読解力というのは一生モノだと思うのだが、そうした一年間すらも費やそうとしない人がいるのはどうしてだろうか。

ここにも現代人の学ぶ力の衰えと、自ら率先して学びを深めようとする態度の欠落を見て取る。フローニンゲン:2018/10/9(火)13:37

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