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3161. 精神病理と集団的狂気


先ほど昼食前に買い物に出かけた時、フローニンゲン上空の雲行きがとても怪しかった。天気予報を確認すると、今日は曇りとのことであったが、その雲は間違いなく雨雲であった。

とはいえ、自宅を出発した時には雨が降っておらず、近所のスーパーに行く程度であるから問題ないと思っていたところ、スーパーを出てすぐに雨が降り始めた。しかもそれは通り雨であり、私がちょうど自宅に着いた頃には雨が止んだ。

いつもは幸運にも、外出から戻ってきたタイミングで雨が降ることが多いのだが、今日は久しぶりに雨を少々浴びた。今は雨が止んでおり、曇った景色が目の前に広がっている。

書斎の窓の外に見える街路樹は、まだなんとか緑色の葉を残している。それが完全に赤くなるのはもう少し先のようだが、明日からの冷え込みを考えると、想像以上にそれは早くやってくるかもしれない。

来週の木曜日からボストンに旅行に出かけ、旅行から戻ってくるときにはもう街路樹の葉は真っ赤になっているかもしれない。

午前中にフーコーの書籍を読みながら、諸々の精神病理は作られるものなのかもしれない、ということを考えていた。人間発達の観点からすると、病理と固有性の判断は非常に難しく、真に病理的なものは病理として認めなくてはならないのだが、現代は過剰に病理を規定しているようにも思えてくる。

あるいは、現代社会はそれが本来病理的なものでなくても病理としてみなしたり、あるいは逆に本来病理的なものであるはずのものを見過ごしてしまっている状況にあるように思えてくる。とりわけ、前者に関しては、現代社会はどこか不必要に病理を認定することにより、それが結局のところ数多くの病理を生み出すことにつながっているように思える。

それもそのはずで、病理として認定した瞬間にそれは新たな病理として誕生するのであるから、現代のこうした状況は精神病理を増殖させることに加担しているのではないかと思われる。

また、例えば現代人の思考停止状態の方がよほど精神病理的であるし、金銭の盲目的信奉の方がよほど病理的であるように思えるにもかかわらず、それらは精神病理としてみなされることがない。こうした状況によって、そうした症状はより悪化の傾向をたどっているように思える。

そのようなことを考えていると、これは何も精神病理だけに当てはまる事柄ではなく、私たちの知性の種類においても当てはまるだろう。これは以前の日記の中で書き留めていたが、私たちは自分たちの知性をひどく限定的なものとして捉えてしまい、本来多様性と固有性を持つ自らの知性を見る目が曇らされている状態にあるように思える。

長らく日本の教育を受け続けていれば、それは日本の社会が規定するひどく限定した知性に自らを閉じ込めることになってしまう。そこで育まれるのは企業社会と癒着した「学校的知性」であり、私たちの多くはそれを知性だと思い込んでいる節がある。

発達心理学者のハワード・ガードナーが指摘しているように、本来私たちの知性は多様性を持つのだが、学校教育を通じて極めて限定的な知性しか涵養されず、さらにはそれらしか知性がないと思い込んでしまうようなひどく限定的な発想の枠組みが知らず知らずのうちに出来上がってしまう。

重要なことは、自らが知性だと思っているものが、実は政治経済的な力学によってそれが規定されていると認識することであり、知性の範囲を狭めるような限定的な発想の枠組みから脱却し、自らの固有の知性が何なのかを見極め、それを育んでいくことなのではないかと思われる。

日本の成人人口は一億人ほどいるらしいが、一億人もの人間が、ごく少数の、しかも発揮される領域が極めて限定的な知性を躍起になって高めようとしているのは集団的狂気のように思える。フローニンゲン:2018/9/22(土)13:22

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