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3156. 多様性・固有性:他者の幸福と自己の幸福


時刻は午後の七時半を迎えた。夕方に雷を伴う突発的な雨が降った。

今は雨は降っていないが、依然として雨雲が空を覆っている。先ほど夕食を食べながら、多様性と固有性がいかに生態系を支えているかについて考えていた。

道行く人を眺めると、一人として同じ人がいないことに驚く。街路樹に集まる生物たちを見ていてもそうだ。

この世界は多様性に満ち溢れている。そして、一つ一つの生命には固有性がある。

多様性と固有性の双方があってこそ、この生態系は維持されているのだと思う。だが、現代社会はそこに亀裂を入れようとしている。

表面的には多様性や固有性を尊重する素振りを見せているが、実情はその逆を行っているのではないかと思われる。それは端的には、この現代社会に蔓延する標準化・平準化の力が依然として巨大なものであることに見て取れる。

人間に焦点を当ててみると、本来こうした多様性や固有性を育んでくれるのはやはり教育の力によるのだと思う。あるいは言い方を変えると、教育の役割は、この社会に存在する多様性と固有性の維持と発達を担うものである必要があるのではないだろうか。

社会という一つの生態系は、多様性と固有性を失った瞬間に崩壊の道を進む。教育が持つ社会的な役割は、まさにそうした事態を防ぐことであり、それは多様性と固有性の維持・発達を担うものであるはずのように思えてくる。現代社会の教育は、果たして私たちの多様性や固有性を守り、育んでくれるものだと言えるだろうか。

不気味な雨雲がどんどん勢力を増している。

欧米での生活も七年目を迎えたが、街を歩いていると時々不思議な考えを持つ。だがこの不思議な考えは、私を教育の世界に向かわせた一つの重要な考えでもある。

その考えとは、真に自らが幸福な人生を生きるためには、自己を取り巻く全ての人が幸福である必要がある、というものだ。改めて文章にしてみると、もしかしたらとかく不思議な考えでもないかもしれない。

私はよく、道を歩いている時にすれ違う人が、ことごとく私の知らない人であることに驚く。これは当たり前なのかもしれないが、この世界には自分の知らない人で満ち溢れていることに改めて驚くことがよくあるのだ。

例えば、今すれ違った人がとても不幸な状態にあり、どうしても金が必要であり、突然私を襲ってくる危険性も考えられなくもない。普段何気なく私たちは無数の知らない人に取り囲まれており、彼らを何気なく信頼しながら日々を生きている。

だが、彼らが仮に不幸な状態であれば何をしでかすかわからない、という考えを持ちながら私は道を歩いていることがある。そんな心配事をしながら生きなければならない世の中は、やはりどこか間違っているのではないだろうか。

そこで突如として私に降ってきた考えは、一人一人が幸福であることの必要性であり、幸福に至るための教育であった。教育が本来持つ役割は、自己の囚われからの解放であり、幸福の実現、しかもしれは個人的なものに留まることをせず、社会的な幸福を実現していくことにあるように思えて仕方ない。

自己が真に幸福であるためには、他者も幸福である必要がある。他者が幸福でないのに、自己だけが幸福感を感じているというのは自己愛的な幸福に過ぎない。そんなものは幸福ではないだろう。

自己が真に幸福であるためには、自己を縛る囚われからの解放だけでは不十分であり、他者も同様に囚われから解放を遂げ、自己を取り巻く他者も幸福であることが絶対的な条件であるように思える。フローニンゲン:2018/9/21(金)19:54

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