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3062.【北欧旅行記】受け継がれる旅


ヘルシンキ滞在の四日目の今日は曇っていて、一日を通して小雨が降る時間帯が何度かあるようだ。明日も似たような天気になるらしい。

幸いにも遠出をして、よく歩くような観光は昨日までに済ませており、今日と明日はホテルからほど近くにある美術館を訪れるだけに留める予定だ。美術館に行き、残りの時間はホテルでゆっくり過ごすことにする。

いつの間にやら今日から九月が始まっていた。欧州での三年目の生活もすでに一ヶ月が過ぎた。

三年目の生活では積極的に旅に出かけようと思っていたこともあり、六月末のロンドン、七月末のデ・ホーヘ・フェルウェ国立公園、八月末の北欧旅行と、毎月旅に出かけている。もう数日したらフローニンゲンに帰るが、今月末には五年振りに米国のボストンに一週間ほどの旅行に出かける。

年内に予定している旅は今のところそれぐらいであり、六月から九月にかけて立て続けに旅に出かけたため、それ以降はフローニンゲンでゆっくりしようと考えている。フローニンゲンでゆったりとしながら、自分の探究活動と創造活動に打ち込むのが賢明だろうと思われる。

随分と旅に出かけたこともあり、旅から得られたものを十分に咀嚼する時間が必要だろうし、旅から得られたものを形にしていく必要もある。そうしたことを踏まえると、オランダ国外に出かけて行く旅は、ボストンに行くことを年内最後のものにしてもいいだろう。

年明けの一月末か二月には、可能であれば是非ともオーロラ観測の船旅に出かけたい。その時はノルウェーに足を運ぶことになる。

昨年の夏にもノルウェーを訪れたが、やはり北欧諸国は私にとってとても魅力的な国だ。ストックホルムに滞在中は自然を強く感じることはできなかったが、おそらく郊外に行けば数多くの自然と触れ合うことができただろう。

今のところ、実際に自然を直接体験し、大きな感銘を受けたのはノルウェーとフィンランドだ。この二つの国の郊外で生活を営みたいという思いが湧いてくる。こうした北欧諸国にオランダを加え、今のところそれら三国のいずれかであれば長く生活をしたいという思いがある。

それにしても、昨日訪れたアイノラは、今回の北欧旅行の最大のハイライトだったように思う。シベリウス愛好家にとっての聖地アイノラは本当に素晴らしかった。

シベリウスの邸宅の近くにはトゥースラ湖と呼ばれる湖があり、博物館を訪れた後、私はそこに向かった。その道中、突然私は、今目の前に見られるような景色と立ち込める自然の香りを幼少期に幾度となく味わう幸運に恵まれていたことを思った。

端的には、両親が私を連れて日本各地を旅した幼少時代の記憶が蘇ってきたのである。トゥースラ湖周辺に流れる空気は、かつて私が日本のどこかの湖で味わったことのある澄んだ空気であった。

そこから記憶の糸がどんどんと辿られていき、両親が連れて行ってくれた無数の旅がどれほど現在の自分の感性を育むことにつながっていたかを思った。私にも子供ができたら、きっと同じことをするだろうと思わずにはいられなかった。

日本各地、そして世界各地を子供と一緒に旅する日がいつかやってくるかもしれない。その時には、私の両親が自分を連れて行ってくれた旅の思い出を話すことにしよう。

旅も次の世代に伝承されうるものであり、旅の記録を書き残すことによって、それはもう一人の人間の旅ではなくなる。一人の人間の旅は万民のための旅になる。ヘルシンキ:2018/9/1(土)07:50

No.1282: Luster of Boston

I hardly composed music during my stay in Boston, but I composed a piece of music in the morning.

Autumnal tints start in Boston, and I can feel the brilliance of fall. Boston, 09:19, Wednesday, 10/3/2018

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