今、アイノラのシベリウス博物館のカフェでこの日記を書いている。カフェから見える景色は美しく、この地の自然の豊かさを感じさせてくれる。
アイノラのこの博物館は昨日のトゥルクの博物館に劣らず、いやこの地でシベリウスが長く過ごし、この地でこの世を去ったことを考えると、アイノラのこの博物館は比類ないものだと言えるかもしれない。
シベリウスをこよなく愛する人たちがこの地を聖地だと述べているのもうなづける。とにかく自然が美しい。
このような場所で落ち着いた生活をしたいと強く思わせてくれる。このように自然で囲まれ、静かな場所で日々の探究活動と創造活動に打ち込むことができたらどれほど幸せなことだろうか。
アイノラを訪れてみて、シベリウスがなぜこの地を選んだのかがわかった気がする。この博物館は、シベリウスが購入した敷地内に建てられており、ショップとカフェは一つの建物内にあり、シベリウスが実際に住んでいた家やサウナ小屋などはまた別々の建物として近くに立っている。
アイノラの敷地内が一般公開されるのは五月から九月の間だけということを知り、今回この博物館に訪れることができたのは本当に幸運であった。
ショップでチケットを購入した私は、まずシベリウスが住んでいた家に向かった。この家にはシベリウスの友人が贈った絵画作品や装飾品などが多数飾ってあり、それはおそらくシベリウスが住んでいた当時の様子のままのように思う。
私は特に、シベリウスが作曲をしていた部屋の前で立ち止まり、ずっと部屋の様子を眺めていた。大きな机が部屋の右側に置かれており、左側にはベッドが置かれている。
正面には小さな本棚が置かれていて、おそらく作曲のために用いていた書籍だけがそこに置かれていた。本棚の向こう側には大きな窓があり、その窓の向こうにはアイノラの自然を眺めることができる。
シベリウスも私と同じように、常に外を眺めながら日々の仕事を進めていたのだと知って嬉しくなる。シベリウスと私は自然をこよなく愛しており、自然からインスピレーションと励ましを受けながら仕事を進めていくという点は共通しているようだ。
この部屋の隅に置かれていたベッドは実際にシベリウスが使っていたものであり、ここで最期を遂げたと思うと非常に感慨深い。部屋の片隅に置かれた小さな丸テーブルの上には、シベリウスが使っていたと思われるハットと杖が置かれていた。
「あのハットを被り、あの杖を使いながらシベリウスは散歩に出かけていたのだろう」と思った。
随分と長い間、私はこの部屋の前に佇んでいた。シベリウスが何十年にもわたって仕事を続けてきたその部屋の前で、ずっと何かを感じながら私は佇んでいた。
しばらくして、ゆっくりとその場を離れ、隣の部屋に向かった。そこには無数の書籍が壁沿いの本棚にびっしりと並べられており、四人掛けの立派な四角いテーブルがあった。
ここでシベリウスは接客をしたり、本棚の書籍を読んでいたのだと思う。あるいは本棚から書籍を選び、それを先ほどの書斎に持って行って読んでいたのかもしれない。
シベリウスは詩や文学作品を好んでおり、旅することを好んでいたということを館内にいた係員に聞いた。ちょうど二人の係員が館内にいて、二人はとても親切に私の質問に答えてくれた。
ちょうど観光客の一団が去った後であったから、私だけがその場にいてあれこれと二人の係員に質問をすることができたことは幸運であった。十分にシベリウスの自宅を見た後に、外に出て自然の中を歩きながら、シベリウスが使っていたサウナ小屋に向かった。
小屋に入ると、サウナルームのなんとも言えない香りが漂ってきた。いまはもう使われていないのだが、当時を思わせる様子がまだ依然として残っていた。
サウナ小屋の近くにはシベリウスが多くの時を過ごしていたであろうと思われる広々としたガーデンがあり、今でもそこには色とりどりの美しい花が咲いていた。ちょうど今朝方降っていた雨の雫が花びらの上に残っており、それが美しく輝いていた。
ガーデンを後にした私は、シベリウスと妻のアイノが眠る墓の前に行った。緑色の美しく大きな墓石が地面に横たわっていた。
私はその場に佇んで、この地で多くのことを分かち合い、多くのことを乗り越えてきたシベリウス夫妻の人生を想った。
静かな時がゆっくりと流れている。カフェの時計が時を刻む音だけが聞こえる。
人生の時が確かに刻まれているのだとわかる。だが私は、時の流れない世界の中に生きているような気がした。アイノラ：2018/8/31（金）12:54
No.1278: A Saturday in Boston
The third day to stay in Boston began.
Today is beautifully sunny. Because today is Saturday, there are many people enjoying running or walking along the Charles River in the early morning.
I convince myself that today will be fulfilled. Boston, 07:28, Saturday, 9/29/2018