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2792. 詩的世界の流入


時刻は午後の七時半を過ぎた。今日は天気予報の通り、一日中曇り空であった。今もまだ灰色の雲が空を覆っている。

フローニンゲン大学での二年目のプログラムを終えてからの最初の一日が緩やかに終わりに近づいている。先ほど浴槽に浸りながら、「客員研究員として米国の大学院に所属することにならなかったことには意味があったのだ」とふと思った。

仮に秋から米国の大学院に客員研究員として所属することになっていたら、欧州での三年目の生活で想定しているような探究活動と創造活動は実現されなかったであろう。そうしたことを考えると、これは一つの幸運であり、運命の導きであったように思う。

夕食を摂る前に一階に降りて郵便受けを確認した。すると二冊の書籍がドイツのアマゾンより届けれられていた。

一冊はマラルメの英仏訳の詩集“Stephane Mallarme: Collected Poems and Other Verse (2006)”であり、もう一冊はルーミーの詩集“The Essential Rumi (1995)”であった。二冊の書籍が届けられた時、いよいよ詩集を読む時期に差し掛かったことを知る。

今はまだ書きたくなかったのだが、いつか詩を作るようなこともありうるのではないかと思う。私にとってそれは嫌な予感である。

これ以上創造手段を増やしていいものかと悩んでしまう。今の自分にとっては詩作を通じた表現活動は、自分の資質では手に負えないものである。

だが、いつか詩作を試みる日が来てもおかしくはない。しばらくは詩を通じた自らの言葉の彫琢と詩的感性を育むことを意識したい。

これら二冊の書籍については近いうちに一読目を開始しようと思う。その際には音読をして、まずは詩のリズムを味わっていく。意味の解釈はその後だ。

最初に意味の解釈をしようと思うと詩的言語の世界には深く入っていけない。また、黙読をしていてもダメだ。

詩には黙読では感得しえない固有のリズムがあり、それは声に出して読んでみなければわからない。意味の解釈を最初に行なうこと、そして黙読で詩を読むことは、過去に詩の世界に入り損ねたことの大きな原因である。そうしたことを踏まえ、音読をしながら詩集を読んでいくことを徹底させたい。

昨日街の古書店ISISに立ち寄った。そこで五冊ほど古書を購入した。二冊はシュリ・オーロビンドが執筆したものであり、それは“Hymns to the Mystic Fire (1985)”と“Collected Poems (1986)”である。

二冊の書籍はどちらも以前に購入しようか迷ったものであり、それらがまだ店内に残っていたことを嬉しく思った。そして他の二冊としては、クリシュナムルティが教育について語っている“Krishnamurti: Beginnings of Learning (1975)”と“Krishnamurti: On Education (1974)”を購入した。

クリシュナムルティの教育思想についてはより深く知りたかったため、数日前に英国のアマゾンから二冊ほど別の書籍を取り寄せていた。今回古書店で上記の二冊を入手できたことを嬉しく思う。

最後の一冊は、英文学のコーナーでずっと悩んでいたのだが、運命的に発見したウィリアム・ブレイクの詩集“William Blake: The Complete Poems (1977)”を購入した。私の中ではブレイクは詩人というよりも画家としての印象が強く、本書を手にとって初めてこれほどまでに詩を創作していた人物なのだと知った。

本書は1000ページを越す大著だが、今後少しずつブレイクの詩を味読していきたい。これら五つの書籍をレジに持って行くと、今日は店主のテオさんの奥さんがレジを担当していた。

私が会計を済ませようとしていたところに、テオさんもレジにやってきたので、二人に「今日無事に修士課程を終えました」と述べた。二人は祝いの言葉を私にかけてくれた。

店主のテオさんは続けて、「先日大量に購入していた書籍はもう読んじゃったのかい?」と笑顔で述べた。それに対して私は「まだ全てを読んだわけではありませんが、この夏は時間があるのでもっと本を読みたいと思いまして」と笑いながら答えた。

レジで会計を終えた時に、テオさんの奥さんが「とてもいい本を購入したわね」と述べてくれた。私はその言葉を胸にしまって古書店を後にしたのを覚えている。

明日からは徐々に詩的世界に入っていくことになるだろう。詩の世界が自分の内側に流れ込んできたことの幸せをここに書き記しておく。フローニンゲン:2018/7/5(木)20:25 

No.1118: On a Cold Morning

As well as yesterday, this morning is very cold.

I’ll start today’s work at my own pace. Groningen, 09:24, Sunday, 8/12/2018

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