
昨日は夕食を摂った後に大英図書館に向かった。木曜日であった昨日は夜の八時まで図書館が開館しており、結局閉館時間までその場にいた。
大英博物館も他の主要な博物館と同様に無料で利用できる。入り口のセキュリティーチェックを速やかに通り抜けた私は、まず入ってすぐに目の前に広がる開放的な空間に息を呑んだ。
入り口の右横には開放的で綺麗なカフェがあり、何人かの人たちが飲み物を片手に勉強や仕事をしていた。入り口の正面には巨大なガラス張りの本棚の中に無数の書物が並んでいた。その様子を見ているだけで私の心は高鳴った。
正面の大きな本棚を眺めながら、エスカレーターを使って上の階に上がった。昨日に大英図書館に訪れたのは何か書物を読むためではなく、作曲をするためだ。
現在宿泊しているホテルの自室の机が狭いため、思ったように作曲ができない。そうしたこともあり、十分なスペースの机があるであろう大英図書館で作曲をしようと思ったのである。
「大英図書館」と聞くと、人は様々なことを考えたり、思い出したりするだろう。私の場合は、カール・マルクスのエピソードをいつも思い出す。
マルクスは30年間、ほぼ毎日この図書館に通い続けた。マルクスは日々同じ時間にやってきては同じ時間に帰るという生活を30年ほど続けていたそうだ。
日々規律と克己を持って大英図書館に通い続け、探究をし続けた末に生み出されたのは『資本論』だった。大英図書館という言葉を聞くとき、私はいつもこのエピソードを思い出す。
マルクスの生活態度には強い共感の念を持ち、マルクスが30年という長大な期間を毎日規則正しく探究に打ち込んだことには多大な感銘を受ける。そのようなことを考えながら、私は空いている席を探した。
図書館の中には地上階以外にもカフェがあり、そこでくつろぎながら勉強している人たちの姿を多く見かけた。夜の時間であったにもかかわらず、多くの人たちが図書館で勉強をしていた。
結局私は、最上階でようやく良さそうな席を見つけることができた。席に腰掛け、少しばかり辺りを見渡した。
確かに私がいるのは、マルクスが日々探究を行っていた「閲覧室」ではないのだが、それでもこの歴史ある図書館の雰囲気を感じるには十分であった。しばらく辺りを見渡した後、私はテレマンの曲を参考に二曲ほど曲を作った。
八つのパートを持つ曲を、まるで手紙を書くように自由に作り上げたと言われるテレマン。そのように述べていたのはヘンデルだ。
また、テレマンと言えば多産なことでも有名だ。テレマンの曲に範を求めて改めて思ったが、テレマンから学ぶことは実に多い。
楽曲から学ぶことも多いが、それ以上に多産の秘密や手紙を書くかのように自由に曲を作り上げていった秘法について知りたいと思う。そうした秘密や秘法を知るための最良の方法は、テレマンが残した楽譜をもとに実際に曲を作り上げていくことだろう。
そうした実践を続けていけば、いつかテレマンが獲得した作曲上の秘密や秘法が我がものになるような気がしている。マルクスが30年間規則正しく探究活動を行ったように、私も規律と克己を持って、長大な時間の流れの中で作曲をし続けたいと思う。ロンドン:2018/6/22(金)06:42
No.1095: Shining Feathers
August will begin from tomorrow.
Groningen in the morning has an atmosphere like shining feathers. Groningen, 09:43, Tuesday, 7/31/2018