ロンドン滞在の三日目の朝を迎えた。時刻は午前六時に近づきつつある。
ホテルの自室の窓を少し開けてみると、爽やかな早朝の風が室内に入ってきた。それはとても新鮮な風であり、幾分冷たくもある。
空を見渡すと雲一つない青空が広がっている。ロンドン滞在中の五日間はずっと晴れが続くようであり、こんなに天気の良いイギリスは初めての経験だ。
昨日に大英博物館を訪れ、そこで得られた感覚がまだ自分の内側に残っている。この感覚を消化するのには幾分時間がかかりそうだという予感がある。
今朝方は印象的な夢を見ていた。特に、最後に見ていた夢の内容を今でも覚えている。
私はゆっくりと流れる大きな川の岸辺に立っていた。そこにたたずみながらぼんやりと川を眺めていた。
すると突然、私の横に友人らしき人物が現れて私に話しかけてきた。何を話しかけてきたのかは覚えていないが、その友人とこの川について話をしていたのを覚えている。
私:「今からこの川を渡ろうと思ってるんだ」
私は友人にそのように述べた。この言葉を述べるまで自分が川を渡ろうと思っていることなど知らなかった。
言葉に出して初めて、その行動に移る決心のようなものが生まれた。確かに川は緩やかに流れているが、川の流れは不規則なうねりを持っていた。
友人:「この川の流れは変わりやすいよ。向きも速さも」
友人はそのように述べた。その言葉を聞いて再度川を眺めると、流れの向きが変わっていた。先ほどまでは右から左に流れていたが、今はこちらからあちら側の岸に向かって流れている。
私:「あっ、流れが変わった。あっちの岸に向かって流れ始めてるよ。これはあちら側の岸に行くチャンスだね」
私はそのように述べ、意を決して川の中に入っていった。川の流れも手伝って、私はどんどんとあちら側の岸に近づいていく。
向こう岸に着くか着かないかのところで夢から覚めた。ロンドン滞在の三日目の朝にそのような夢を見た。
この夢は、此岸から彼岸へ向かうことを示唆していたのだろうか。こちらの世界からあちらの世界に行く夢。私は時折そうした類の夢を見る。
昨日に大英博物館で見た古代エジプトのミイラや棺、そして死者の書を思い出す。死者を死後の世界に案内するための呪文を集めたもの、それが死者の書だ。
夢の中で私は、対岸があまりよく見えず、どのような場所かもわからないにもかかわらず、あちらの岸に対して何か憧れとでも呼べるような感情を持っていた。そして印象的なのは、川に入った時、川の流れに身を任せて向こうの岸に向かっていくことの心地良さである。それは本当に恍惚的な心地良さであった。
流れの向きと同じ方向に流れていくこと。しかも流れる速度を自分で決めるのではなく、川の流れの速度のままに流れていくこと。それがどれほど私に心地良さと安堵の気持ちをもたらしただろうか。
幾世代もの時代を見てきた歴史を感じさせる煉瓦造りの家々に朝日が照っている。ロンドン滞在の三日目の朝が今始まろうとしている。ロンドン:2018/6/22(金)06:20
No.1094: A Passionate Crystal
Everyone has a crystal inside him or herself, which essentially embodies zest.
The inherent brightness of the crystal represents that of each soul. Groningen, 08:44, Monday, 7/30/2018