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2634. 【アムステルダム滞在記】宿泊先ホテルの親切なホテルマン


アムテルダムでの滞在の初日が今終わりに近づいている。時刻は午後の八時半を迎えた。

アムテルダムもフローニンゲンと同じようにこの季節は日が長い。あと一時間半は日が残っているだろう。

つい先ほどホテルに戻ってきた。今日は色々なことがあったので、少しばかり時系列的に振り返っておきたいと思う。何をどのように書き連ねていくかは全く不明だが、筆が流れるままに書き留めておく。

振り返れば今日は五時に起床し、九時過ぎに自宅を出発してフローニンゲン中央駅に向かった。十時台の列車に乗り、まずはユトレヒトまで二時間ほどの列車の旅に出る予定だった。

しかし、フローニンゲンからほど近くのアッセン駅の向こう側で何か事故があったらしく、列車がアッセン中央駅で強制的に止まった。その後無事に列車が動き、アッセンから先に進めるようになり、アムステルダム・アムステル駅に午後一時半過ぎに到着した。

ホテルのチェックインは午後の二時からであったからちょうど良い時間と言えばそうであった。予定ではもう少し早めに着き、ホテルのロビーでチェックインの時間まで過ごそうと思ったのだが、ホテルに着いたのはちょうど午後の二時であった。

アムステルダムに用事があるときは、これまではいつもアムステルダム中央駅を用いていた。しかし今回は初めてアムステルダム・アムステル駅で下車した。その理由としては、学会の会場がちょうどこの駅と目と鼻の先にあるためであり、また宿泊先のホテルもこの駅に近いからであった。

アムステルダム・アムステル駅がどのような駅なのか降りてみるまでは全くわからなかったが、駅を降りた瞬間に燦然と輝く夏の太陽と緑豊かな街路樹が目に飛び込んできた。今日の日中のアムステルダムはとても暑かった。半袖で来て本当に正解だったと思う。

昨日にアムステルダムも雷雨に見舞われたようであり、湿度が高かったことも暑く感じさせた要因だろう。とはいえ、日陰に入れば非常に過ごし易いレベルの暑さであった。

アムステルダム・アムステル駅のすぐそばには運河が流れている。フローニンゲンの街も運河で張り巡らされているが、アムステルダムの方が運河の張り巡らされている度合いは圧倒的に高い。

ちょうど駅のすぐそばにある大きな運河に沿って、私はホテルに向かって歩き出した。いかんせん初めてこの辺りを歩くため、好奇心に満たされた目で辺りを見回しながら歩いていた。

すると、大きな運河の波止場のような場所から水着を着た人たちが運河に飛び込む姿を目撃した。確かに今日は気温が高く、プールか海で泳ぎたい気分ではあるが、お世辞にも綺麗とは言えない——いやむしろ相当に汚い——運河に向かってダイビングする若い人たちの姿を見て大丈夫かと心配してしまった。

水が濁っており、何か菌でもいそうな水質なのだが、お構いなしに若者たちが運河に飛び込んでいく。そうした姿を横目に、私はホテルに向かって歩き続けた。

ホテルまでの道のりはオランダ風の個性的な家々が立ち並ぶ光景を見ることができ、とても興味深かかった。フローニンゲンでこうした光景は見慣れているのだが、初めて訪れる場所の住宅街はいつもとは違う目が働くかのようであった。

アムステルダムの中心部にはあまり住みたいと思わないのだが、ホテルに向かうまでの道を歩いていると、こうした場所に住むのも悪くないと思った。とにかく落ち着いた生活ができそうな空間がそこに広がっていたと言える。

20分ほど駅から歩くとホテルに到着した。アムステルダムのホテルの価格はどこも高く、今回宿泊するホテルも四つ星のホテルであるからそれなりだ。

とにかく旅先では余計なストレスをかけず、宿泊先の自室ではとにかく心身を休めたいという考えを常に持っているため、今回のようにある程度快適なホテルに宿泊することにした。ホテルのロビーに到着すると、アフリカ系オランダ人の小柄な男性が笑顔で出迎えてくれた。

彼の名前はモレノという。モレノは非常に好印象を与える青年であり、受け答えがハキハキしており、おもてなしの心もとても高かった。

今日のアムステルダムの気温の高さに関する話や今回は学会の発表のためにアムステルダムに来たことなど、雑談を少ししてから部屋のルームキーを受け取り、受付に置かれていた飴玉を一つもらって部屋に向かった。

部屋に到着して荷物を降ろし、一息入れずにすぐにヴァン・ゴッホ美術館に向かうことにした。ホテルからゴッホ美術館までは徒歩で20分弱であり、閉館時間が夜の七時であるため、四時間ほど美術館に滞在できると考えていた。

四時間あれば十分だろうという算段があったが。宿泊している三階の部屋からロビーのフロアに降りて、受付のモレノに挨拶をしてから出発しようと思っていた。

:「ではまた後ほど。今からゴッホ美術館に行ってくるよ」

モレノ:「行ってらっしゃい。ゴッホ美術館に行かれるのですね。どうぞごゆっくり楽しんできてください。あっ、待ってください。もうチケットは持っていますか?この時期はチケット売り場が混むんです」

三年前にゴッホ美術館を訪れた時は冬の二月であり、チケット売り場は全く混んでいなかった。この時期はそんなに混むのだろうか?と少し疑問に思ったが、現地のホテルマンが言うのであるからそうなのかもしれないと思った。

:「えっ、混むの?三年前に一度足を運んだことがあるんだけど、その時はほとんど混んでいなかったような・・・」

モレノ:「この時期は混みやすいんですよ。ちょっと待ってくださいね。今すぐにインターネットで調べます。ヴァン・ゴッホ美術館・・・っと。あぁ、今日はそれほど混まないようですね」

:「それは良かった〜」

モレノ:「あっ、今調べてみると、チケットはオンラインで購入しないといけないみたいです」

:「えっ?チケット売り場で買えないの?」

モレノ:「そう見たいです。『チケットはオンラインのみで販売しています』とウェブサイトに書いています。いや〜確認して良かったですね」

:「危うくチケットを持たないまま美術館に行くところだったよ。どうもありがとう!」

私はなぜ単に一言「また後ほど(See you later)」の挨拶だけではなく、ゴッホ美術館に行ってくるとモレノに述べたのかわからなかった。おそらく彼の人柄の良さが私にもう一言二言の言葉を促したのだろと思う。

結果としてゴッホ美術館に行ってくると述べて本当に良かったと思う。危うくチケットを購入しないままに現地に向かうところだった。

どうやらこの三年の間にチケットの入手方法が変わり(もしくはこの夏の時期は)、現地でチケットが購入できないようになってしまったらしかった。私はモレノにお礼を述べ、すぐさま自室に戻り、チケットを購入した。

ホテルから美術館までの移動時間を考慮して、少し余裕を持たせて「15:15」のチケットを購入した。チケットを無事に購入し、私はすぐに自室を出て、再び受付のモレノにお礼を述べてから美術館へ向かった。

:「本当に助かったよ、どうもありがとう!それでは行ってきます」

モレノ:「どういたしまして。それでは良い時間を。明日の朝私はまた受付にいますので、ぜひ感想を聞かせてください」

モレノというホテルマンの親切心と人柄の良さにとても良い気持ちになり、私は意気揚々とヴァン・ゴッホ美術館に向かった。アムステルダム:2018/5/30(水)21:06 

 
 
 

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