
初夏の穏やかな風がフローニンゲンの街を駆け抜けている。そうした風を感じながら、自分の内側に脈打つ内的な鼓動を感じている。
今日はどうしたものか、本当に小鳥たちがいつになく鳴き声を上げている。とても快活な鳴き声だ。
果たして今日は本当に午後から雨が降るのだろうか。今の空を見る限り、天気予報がいよいよ怪しくなる。
個人的には午後から雨が降って欲しいと思う。天気雨のような雨が幾分降ってくれれば、どことなく涼しげな雰囲気になるだろうと期待している。
また、こうした天気の中で雨が降れば、間違いなく遠くの空に虹が見えるだろう。そういえばここ何ヶ月間も虹を見ていない。
おそらく最後に虹を見たのは、昨年の冬にデ・ホーヘ・フェルウェ国立公園へ訪れた時だったと思う。雨が恋しく、虹が恋しいような気分になる。
昨日と今日を通じて、夢の世界がとても落ち着いている。先日までのざわつきとは打って変わって、自分の無意識の世界が穏やかであることを感じる。
このようなことを書くと、大抵今夜は何か印象的な夢を見そうだが、とにかくここ二日は印象的な夢を見ていない。今朝方にも夢を見ていたことは確かであり、夢が自分の無意識に浮かび上がっていたという感覚はあるが、その内容は覚えていない。天気と同様に、人間の無意識が持つ変動性は驚くべきものだと改めて思う。
明日からは学会参加のためアムステルダムに宿泊する。午前10時か11時にフローニンゲン中央駅を出発する列車に乗ろうと思う。
ホテルに少し早めに到着することになるが、もしチェックインが可能であれば速やかにチェックインを済ませ、もしチェックインの時間として早すぎるようであればホテルのロビーで仕事をすることにする。
ホテルのチェックインを済ませたら、その足でヴァン・ゴッホ美術館に向かう。当初の予定では、明日の夜にオルガンコンサートに参加したいと思っていたが、調べてみるとその日に行なわれているコンサートはないようであった。
アムステルダムには立派なパイプオルガンがいくつかの教会にあるようであり、いつかアムステルダムの教会でパイプオルガンの音色を聴いてみたい。今回は日程に合うコンサートがなくて残念だが、来月にはフローニンゲンの街の小さな教会でバッハのアンサンブルコンサートに参加することになっている。
また、秋にはマルティニ教会で行われるパイプオルガンのコンサートにも参加する予定であるため、オランダにいる間に教会で音楽を聴く機会に恵まれていることには感謝をする必要がある。
今日は昼食後に作曲実践を行う。その際にはバッハに範を求めて曲を作り、夜にはバルトークに範を求めてさらに一曲作りたいと思う。
今の私はやはりまだ作曲実践に全身全霊を捧げることができていない。人生のこの時期においては他の幾つかの仕事に従事するのは宿命のようだ。
学術研究や日本企業との協働プロジェクトと並行する形で今は作曲実践に打ち込んでいく。毎日多くの時間を費やすことができず、結果として少しずつしか進歩を実現することができないが、今はそれでいいのだと納得させている。
人生にも季節があり、その季節においてやるべき事柄があるのだ。今はそれらに専心する。
しかしいつか、ゴッホのように激しく創造活動だけに従事するような日々が来ると願っており、そうした日が来ると確信している。フローニンゲン:2018/5/29(火)10:25