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2548. 土地を耕すこと


起床直後に見えていた雲の塊が東の空の彼方に消え去り、今はもう視界にはほとんど雲が見えない。今日は晴れでありながらもとても涼しい一日になるようだ。

立派に茂り始めた街路樹が凛とした佇まいでそこに立っている。葉がほとんど揺れていないところをみると、今日は風も穏やかなようだ。

今朝方見ていた夢について再度思い返している。特に、最初に見た夢の方だ。

夢の中で自分の曲を聴いた時の確かな感動を再度内側で感じている。また、曲の途中で見られた演奏が難解な箇所についても改めて考えている。

歌手が歌いにくそうにドイツ語の歌を歌っている時の、なんとも言えない苦々しい気持ちと申し訳なさ。夢の中の体験は、自分の曲がなんらかの感動を引き起こす感覚質を持ち合わせているということと、その感覚質を真に表現していくための技術的向上の余地を物語っているように思えた。そうしたこともあり、夢の中の私は、「今日の演奏は自分の作曲活動の原体験になりました」と述べたのかもしれない。

昨日の夕方以降、様々な対象についてあれこれと考えていたのだが、考えをうまくまとめていくような文章を書くことができなかった。昨日に考えていたことの一つとして、人は種や芽ばかりを育てようとするが、肝心の土そのものを耕すことを忘れてはしないだろうか、というものだった。

とりわけ人間の諸々の発達現象において、そうした状況は顕著に表れているように思う。種や芽ばかりを育てようとするのではなく、それらが育まれるための土壌そのものをより長い目で養っていく必要があるのではないだろうか。

長期的な視野を持つことと、種や芽の背後にある土壌を見ることの難しさ。現代人にとって、時間軸を長くとって思考することや、事物の背景にあるものを捉える認識を持つことは難しいのかもしれない。

その傾向は日増しに強くなっていく一方だ。種や芽が育っていくための、ある種の経験の土壌をより豊かにしていきたいと思う。

もしかすると、私はまだ種を植える段階ではないのかもしれない。まだ土を耕す段階なのだ。

実を刈り取ろうとするなどもってのほかであり、芽を出そうとすることも時期尚早なのだ。とにかくゆっくりと自らの内側にある土壌を涵養していこうと思う。

おそらく欧州で三年目の生活をすることになった導きはそこにある。焦ることなく、できるだけ豊穣な土地をゆっくりと育んでいくこと。それをこれからの一つの信条としたい。

昨日もう一つ考えていたことは、短い曲を作っていくことの意義である。長い曲を作るのではなく、小節の制限をあえてかけることによって、その制約された空間の中で何かを完結した形で表現していくこと。

そして、完結されたものを吟味し、そこからフィードバックを得て次の曲につなげていくことの大切さ。作曲技術を高めていく際に、短い曲を作っていくことで、一つの完結されたものが生み出されることへの達成感と喜びを感じ、短い曲を多く作ることによって得られる絶え間ないフィードバックが大事なように思えてくる。

私が短い曲をあえて作っているのは、もちろん技術的な問題もあるが、それ以上に、小さな達成感と創造の喜びを感じ、それを通じて絶え間ない創造活動に従事したいという思いの表れかもしれない。長大な作品を一つ残すのではなく、小さな作品を一万残すこと。

人生は日々の積み重ねであり、それが結果として一つの長大な物語になっていくのと同じだ。小さな作品を毎日作り、それが結果として一つの芸術作品になればいい。そんなことを昨日考えていた。フローニンゲン:2018/5/11(金)06:51

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