ワルシャワに到着した初日が今終わりに差し掛かっている。ワルシャワ・ショパン空港からワルシャワ中央駅に向かう列車の中から見た景色によって日本の春を思い出し、それが影響をしてなのか、ホテルに到着するや否や今日の夕食は日本食を久しぶりに食べたいと思った。
先ほど、自室に備え付けのネスプレッソマシーンでコーヒーを入れ、それを飲みながら一息ついていた。仮眠を含め、しばらくホテルで休息を取った後に、夕方の五時ぐらいから日本食が食べられる近くの定食屋に向かった。
そこはレストランというほどの大きさではなく、どこかカフェのようでもあり、家族テーブルが三つあるだけのとても小さな定食屋だった。事前にホテルでその店について調べていたところ、なにやら落ち着いた感じが漂っており、同時にとてもローカルな感じがして好意的に思っていた。
ホテルから数分ほど歩いた場所にその定食屋があり、そこに到着してみると、すでにポーランド人のカップルの二人が夕食を摂っている最中だった。私は空いている残り二つのうちの一つのテーブルに案内され、カツ丼と餃子を頼んだ。
丼物と餃子を食べるのはどれくらいぶりだろうか。昨年の年末に実家に戻った際に、カツ丼ではないが、海鮮丼を食べたことを覚えており、丼物を食べるのはそれ以来のことだろうか。何より白米を口にすることが数ヶ月ぶりのように思う。
注文を受けてくれたのはポーランド人の若い女性であり、料理を作ってくれたのは日本人の男性だった。どうやら二人でこの店を切り盛りしているようだ。
夕食に合わせて、私は日本茶を頼んだ。注文がやってくるまで、私は持参した“A Philosophy of Music Education (1970)”を読んでいた。ちょうどワルシャワに向かう飛行機の機内でこの書籍を読んでおり、音楽教育に関する哲学思想と音楽に関する美学思想について随分と得るものが多く、一回の読書では消化しきれないことが多々あった。
この定食屋で注文を待っている間も、本書を食い入るようにして読んでいた。しばらくすると先に日本茶が運ばれてきた。
なんと嬉しいことに、急須に入ったお茶だった。急須という物体を見たのはどれくらいぶりだろうか。そして、急須という物体を間近で眺めた時にもたらされるこの安堵感は一体なんだろうか。
私は大きな安堵感と共に、急須から湯飲み茶わんにお茶を注いだ。とても香ばしい香りが漂い、一口飲んだ時には何か心の底から安堵感を感じた。
まさかワルシャワの街でこのような感覚を得るとは思ってもいなかった。お茶を一口飲み、またしばらく持参した書籍に目を通していた。
すると程なくして、餃子とカツ丼が運ばれてきた。これら二つの味も格別だった。日本で食べていた餃子とカツ丼と同じ味がする、というだけ感激も一塩だった。
私は全てを綺麗に平らげ、ゆっくりとお茶を飲み、それを飲み終えて一休憩してから、店を切り盛りしている二人にお礼を述べて店を後にした。ワルシャワに滞在している期間の夕食は全てここで食べてもいいのではないかと思うぐらいに美味しかった。明日もぜひ足を運ぼうと思う。ワルシャワ:2018/4/13(金)21:08
No.969:Bounce of Souls
Spring enables me to feel that each life is vibrating softly and powerfully. Every life has its intrinsic bounce. Groningen, 09:22, Friday, 5/4/2018