ライフワークの分類について書き始めたはずが、結局分類上の一つ目の項目である一人称的な実践、つまり日記の執筆と作曲について言及しただけで終わっていたことに気づいた。もう一つの項目についても書き留めておく必要がある。
もう一つのライフワークは、間違いなく他者との協働で何かを創造していくことである。それは今のところ、協働プロジェクトという形で進んでいる。
こうした協働プロジェクトの意義は計り知れない。もはや説明する必要のないぐらいに、協働プロジェクトというのは一人では決して生み出せないものをこの世界に生み出していく。そこにまず大きな価値と意義があるように思う。
とりわけ欧州に来てから協働プロジェクトの数が増えることによって、協働プロジェクトを通じた気づきと発見が蓄積されている。協働プロジェクトというのは、他者共に創造と成長に伴う喜びを共有する実践行為であり、そこで生み出されたものがこの社会への大きな関与につながっていくことを本質にしているように思う。
先ほど書き留めた日記や作曲という行為が、一人の人間を通じて創造と成長の喜びをもたらすものとは対照的に、協働プロジェクトではそれを実現させる数多くの人たちの関与が存在しており、彼らとそうした喜びを共有することのできる営みなのだと思う。
日記や作曲と同様に、これからも多様な協働プロジェクトに参画し、ゆっくりとでいいのでそれらを前に進めていきたいと思う。協働プロジェクトへの絶え間ざる参画もまた私のライフワークの大切な一つだ。
ライフワークについて日記を書き留めていると、少しばかり時間が経つのを忘れていた。顔を上げると、ダークブルーの空がライトブルーに変わっていた。そして、小雨が止み、外は明るさを現し始めていた。
時間が経つのを忘れていた、と書いた瞬間に、起床時に考えていたことを思い出した。作曲における時間の取り扱いに関する問題である。
私たちの成長や発達という現象には時間という概念は切っても切り離すことができない。なぜなら、私たちの成長や発達は時間の中で生じるものであるからだ。これは非常にシンプルな論理でありながら、とても奥深い事柄であるように思う。
成長や発達が時間の中に埋め込まれ、時間を通じて成し遂げられるということについては改めて考えてみる必要があるだろう。作曲に関する時間の取り扱いというのは、一つの曲もまさに人間の成長や発達と同様に時間の中で生まれることと関係している。
曲が時間に埋め込まれる形で具現化されることも再度深く考えてみるに値する事柄だと思う。時間のない曲は存在しない。必ず曲には時間が寄り添っているのである。
もちろん、私の作曲技術が未熟だということもあるが、とにかく私は時間としては短い曲を作っていきたいと思っているし、実際に短い曲を作ろうと常に意識している。
長くても一分半や二分が目処だろう。理想は、俳句のように極めて短い形式の中に曲を作っていくことである。
俳句は短い形式の中に深遠な表現宇宙を生み出すことを可能にする。俳句を詠む時間というのは非常に短いが、そこには確かに深遠な宇宙を表現することが可能なのである。
こうした俳句の持つ時間的な短さとそこに具現化される深遠さに惹かれているのは、私が日本人だからかもしれない。とにかく今後も、作曲に伴う時間概念については考えを深めて行きたいと思っている。
仮にこの秋から米国の大学院に移ることになれば、そこでは哲学科の講義を聴講したいと思っていた。ハイデガーの“Being and Time”一冊だけを精読していく講義があり、それを聴講することを考えていた。
「存在と時間」というのは、人間存在における成長や発達のみならず、曲という存在における発展過程を考察する上で非常に大切な観点のように思う。フローニンゲン:2018/4/3(火)07:27
No.939: To be a Traveling Scientist, Philosopher, and Composer
I thought that I would be a traveling scientist, philosopher, and composer in my near future.
Traveling all over the world enriches my life, which also cultivates my scientific and philosophical thoughts.
I wish I could compose music more freely and spontaneously. If it were accomplished, I could always compose music to capture any precious experience during my trip. Warsaw, 19:34, Monday, 4/16/2018