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2312. 企業社会と美意識


時刻が七時に近づくと、辺りは少しずつ明るくなってきた。ただし、昨日に引き続き、今日もまた薄い雲が空全体を覆っているため、その明るさは十分ではない。

そうした中、ふと今朝の起床時に床の上に横たわっている時に聞こえてきた小鳥たちの鳴き声について思い出した。数羽の小鳥たちがとても爽快な鳴き声を奏でていた。

私は目をつぶりながら、美しい合唱曲とでも形容できるようなその鳴き声に耳を傾けていた。しばらくその鳴き声を聞いていると、あるところでそれは静かに終わりを告げた。

その瞬間に私は目を開け、活力に満たされた状態で一日を始めることにした。今朝の目覚めはそのような形だった。

実は小鳥の鳴き声を聞く前に、夢の中で私は誰が作曲したのかはわからない美しい曲に耳を傾けていた。実際には、夢見の意識の中で、その曲の楽譜が立ち現れ、その楽譜を目で追いかける形でその曲を聴いていた。

音楽が出現する夢は、欧州での二年目の生活が始まってからたびたび現れるようになった。これまでの人生において、夢の中で音楽が流れることはほとんどなかったため、欧州での二年目の生活はやはり私の中で転換期に当たるもののようだ。

昨夜、美学に関する論文を何本か食い入るように読んでいた。その中で、経営学者として有名なエドガー・シャインが企業社会と芸術を関係付けることを意図して執筆した短い論文に出会った。

シャインも学術研究のみならず、スケッチをするという創作活動を長らく続けているようだ。論文そのものは経営学者のそれであり、美学という哲学領域にまで踏み込むような考察はそれほどなかったが、興味深く読んでいたことは確かだ。

シャインという経営学者も芸術の意義を認め、また一人の芸術家として活動を行っているということは、少しばかり私の励みになった。企業社会と美意識というのは、ここ最近私の中で立ち現れてきた探究主題である。

もちろん、純粋に音楽に関する美意識の発達過程を探究することが、今の私を大きく惹きつけている。それに付随して、音楽の領域のみならず、企業社会における美意識の意義とその発達過程を探究するような試みにもこれから本格的に着手していきたい。

今はそうした探究に向けた準備的な探究をしている最中である。何本か美学の論文を読んでみると、実に興味深い論考が多く、美の捉え方と美の探究に関してこれまでにはない観点が獲得されたのは明らかであった。

こうしたことは自らの美意識を育む上でも重要であろうし、作曲実践にも何らかの好影響を与えるだろう。しかし、美学の論文に対する価値を認めながらも、やはり私は創作行為そのものを何よりも大切にしようと思った。

昨夜から創ることへの意識がまた高まり始めている。読むことは創ることの補完であって、決して主ではない。

絶えず絶えず創ること。創造に次ぐ創造の中で毎日を生きていくこと。その姿勢を最後の日まで持ち続けたいと思う。フローニンゲン:2018/3/23(金)07:15 

No.904: Coronation of Spring

I’m longing for the coronation of spring. However, I know that it is coming soon. Groningen, 08:20, Saturday, 3/31/2018

過去の曲の音源の保存先はこちらより(Youtube)

過去の曲の楽譜と音源の保存先はこちらより(MuseScore)

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