今週も静かに終わりに近づいている。インターンの十日目を終え、今日の研究も非常にはかどったことに充実感を感じる。
今日は曇りの予報が出ていたが、基本的に一日を通して晴れの時間帯が多く、オフィスの窓からの眺めはとても清々しい光に包まれていた。今日一日のことを少しばかり振り返ってみると、オフィスに到着し、一階にコーヒーを購入しに行った時、一人の女性が「ドアから外に出られない」と私に助けを求めてきたことを思い出す。
聞くところによると、彼女はオランダ語の教師としてこのキャンパスに来たらしく、外から中に建物に入れたのに、中から外に出れないと困っていたようだ。私は特に焦っているわけでもなかったので、彼女がやって来たドアの方に一緒に行き、そのドアの前に立ってみると、確かに中からは開かない仕組みになっていた。
というよりも、特別な鍵がなければ中から外に出られないようだった。結局私は役に立てなかったが、その女性に遠回りをして目的の建物に行く方法を教えた。
一緒にコーヒーマシーンのところまで戻ろうとすると、偶然ながら開かないはずのドアの方から一人の女性がやって来た。見ると、その女性の手元には鍵があり、私に助けを求めてきたオランダ語教師の女性は無事にそのドアから外に出ることができた。
いつもとは異なる形で一日が始まったと思いながら、私はいつもと同じコーヒーを購入した。購入したコーヒーを片手に二階のオフィスに戻ろうとすると、階段を上った所に清掃員の女性がいた。
私と同い年ぐらいの女性だろうか、こちらから挨拶をすると、何やら朝食を口に入れた瞬間だったらしく、彼女は笑顔を浮かべながら身振りで私の挨拶に応えた。オフィスに向かって歩き出すと、清掃員の女性が後ろからドタドタと追いかけてくる足音が聞こえたので、その場で立ち止まった。
そして、そこで立ち話を始めた。話し始めてみると、彼女は意外なほどに陽気な性格をしていることがわかった。
私の一つの質問に対して、彼女はいろんなことを話し始めた。私が一切質問していないことにも早口で色々と話し始める姿は圧巻であった。
聞くところによると——聞いていないのだが——、彼女には三歳と二歳の子供がいるらしく、週末に二人の子供を相手にして少しくたびれているそうだ。今日は金曜日であるから、彼女はどうやら先週末のことを話しているらしかった。
私:「それでも二人の子供は可愛いでしょ?」
清掃員の女性:「アウェアネス。神のアウェアネスのなのよ。友達も言ってたわ、二人は神と繋がってるのよ。それで私はくたびれちゃうんだわ笑」
最初私は彼女が何を言い出したのか、少し戸惑った。しかし、それまでのやり取りを通じて、彼女が高度な言語能力を備えた発達障害を持っているらしいことがわかっていた。
また、「二人の子供が神のアウェアネスを持っている」という意味も十分に分かる気がしたので、そこからまた質問を続けた。特に、そうした子供たちと遊ぶことによってくたびれてしまうというのはどういうことかについて尋ねてみた。
だが、残念ながらその回答は得られなかった。私たちはお互いに笑みを浮かべて、その場で別れの挨拶をし、お互いの仕事に取り掛かることにした。
なんだか今日は活気の良いスタートだったように思う。フローニンゲン:2018/3/9(金)21:16