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2114. 成長支援者に見られる誤認識


相変わらずの寒さであるが、一方で日の出の時間はどんどんと早くなってきている。今は七時前だが、すでに空は徐々に明るくなってきている。

季節が光の世界へ徐々に向かっていることがうかがえる。書斎の目の前に見える裸の街路樹も、しばらくすると再び豊かな緑をつけるだろう。

そんな期待を抱く土曜日の朝である。数日前に、オンラインを通じてある講演に登壇させていただく機会を得た。

その時に、「ピアジェ効果というものは理解できるのだが、そうは言っても成長を悠長に待っていることができない場合にはどうしたらいいのか?」という質問を受けた。その問いに対して、改めて考えを巡らせることがここ数日間の中にあった。

おそらく、そこには支援者側の焦りや、もしかすると何らかの恐れがあり、そうした焦りや恐れを生み出しているのは、成長という概念の捉え方に一つの要因があるかもしれないと思うようになった。ほとんどの人は、発達段階モデルで言うところのマクロな成長だけに注目してしまう傾向がある。

それゆえに、マクロな成長がすぐに起きないことに対して嘆き、時に苛立ちを覚えてしまうのではないだろうか。様々な実証研究が示しているように、マクロな成長は一夜にして起こらないのである。

仮にごくわずかの期間で成長が起こったように見える場合、それは段階の変化ではなく、単なる状態の変化である可能性が高い。段階と状態の区別は適切に行う必要がある。

マクロな成長は時間をかけて緩やかに成し遂げられるという認識を、私たちは正しく持ったほうがいいだろう。こうした構造上の大きな変化が個人や組織に一夜にして起こった場合を想定してみてほしい。

それが起こった当人や組織には、間違いなく動揺が生まれ、個人と組織の双方が「発達的危機」を経験してしまうだろう。高度な段階に急激に達するというのは、こうした発達的危機を誘発し、それが将来の発達を大きく妨げる、あるいは歪ませてしまうことにつながってしまうことには細心の注意が必要だろう。

上記の質問に戻ると、マクロな成長のみに着目するのではなく、マクロな成長が起こるために不可欠なメソ、そしてミクロな成長により焦点を当てていくということが現実的な方法だと思う。とりわけ、マクロ、メソな成長の基盤となるミクロな成長を支援していくことの重要性は計り知れない。

私たちはついつい大きな成長のみに焦点を当てがちであり、日々の小さな成長に関しては蔑ろにする傾向がある。結局この認識上の偏りが、マクロな成長を育みにくくしているように思えて仕方ない。

私たちは気づかない形で、三つの種類の成長を序列化し、一番大きなマクロな成長だけを思い求めようとするのである。ダイナミックシステム理論の根幹にある考えを用いると、発達とは以前の段階を引き受けながら、反復と小さな差異を絶えず経験していくことで生じるものだと言える。

マクロな成長が起きるためには、まさにその基盤となるミクロな成長が不可欠であり、これを見落としてはならない。成長支援を行う実践者に頻繁に見られるのは、成長という概念を狭く捉え、往々にしてマクロな成長を絶対視し、ミクロな成長に一切焦点を当てていないことである。

日々の小さな変化を捉えることができずして、成長支援など行うことはできないだろう。フローニンゲン:2018/3/3(土)07:15     

No.833: A Bright Shadow Samurai

I often feel that my bright shadow buttresses my being.

I experienced it in the morning today as if not the dark side of my shadow but the radiant side were manifest. Groningen, 08:25, Tuesday, 3/6/2018

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