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1929. 家族の一風景


今朝は四時を少し過ぎた頃に起床し、そこから読書を始めた。日本に帰ってきてから四日目の朝を迎えたが、日本に戻ってくると、無性に日本語を読みたくなる自分がそこにいた。

日本語への飢え。そのようなものが自分の中にあったのは間違い無いだろう。

作曲関係の英語の書籍を何冊か持参したが、実家に滞在中にそれらをどれほど読むかは不明確である。それ以上に、とにかく日本語の書籍を滞在中に読めるだけ読んでおきたいという思いが強い。

昨日の午後に実家に到着し、このところ父も哲学や心理学、そして歴史に関する読書にのめり込んでいることを改めて聞いた。その話を聞くや否や、父から何冊か和書を借りた。

読書に関していくつか嬉しいことがあった。父が今から40年ほど前に大学を卒業した時に、卒業記念に合わせて日本文学の名著集を購入していたそうである。

それは卒業記念として購入したものであり、一度も読むことなく祖父母の家に預けておいたそうだ。それを改めて実家に送ってもらい、昨日それを両親と一緒に開いた。

二つの段ボールを開けると、40年前を思わせるような復刻版の小説が顔を覗かせた。私は生まれて初めて、書物のページをナイフで切りながら読む類の書籍を目にした。

その名著集の中には、夏目漱石の直筆原稿などもあり、私はひどく興奮していた。両親を含め、私たち三人にとって、名著集が詰まった段ボールは宝石箱のように見えていたに違いない。

段ボールの中にしまわれていた名著集の中でどれが自分のお気に入りかを各々が同時に好き勝手に述べ始めた時は、思わず全員で笑った。段ボールの中にしまわれていた一冊一冊の和書は、私にとって財宝に思えた。

数ある名著の中から、私は堀辰雄氏の『風立ちぬ』を手に取った。正直なところ、段ボールに入っていた名著を全て読みたいという思いを抑えることは難しいが、まずは堀辰雄氏の小説から読み進めていきたい。

大学の卒業記念に貯めたバイト代を使って、当時の価格で20万円ほどしたというこの全集を購入した父は、やはり私の父だと思う。こうした文化資本を残してくれた父にひどく感謝をした。

父は「いつか読もうと思って購入した」と述べていた。結局、この40年間一度もそれらの全集を読むことはなかったそうだが、その「いつか」は今やってきたのだと思う。

いつか自分が読もうと思って購入した書物が、子供と共に読む日が実現したことに、私は深く感動していた。2017/12/24(日)05:55

No.574: Peculiarity

Why do we often avoid listening to music with a peculiarity or oddity even though we have such an idiosyncrasy?

Picking up only great famous music is tasteless as if we lived in a desert island. 09:38, Monday, 1/1/2018

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