1790. ルールの中で生きる人々
- yoheikatowwp
- 2017年12月6日
- 読了時間: 7分

今朝は六時過ぎに起床し、六時半を過ぎた頃に今日の仕事を開始させた。昨夜はいつも以上に良質な睡眠を取ることができたようであり、起床から仕事の開始までの流れが非常にスムーズである。
書斎の窓の外には小鳥が鳴いており、通りを走る車の音が聞こえる。今日は普段より、世界が動き出すのが早いように感じる。
一台の車が通りを走り去って行った時、水しぶきを上げるような音が聞こえたため、昨夜は雨が降ったのだと思う。昨夜は夢の中で、自分の脳を刺激するような音を聴いていた。
夢の中で私は、ショッピングモールのような建物の中にいた。建物内の真ん中に位置する横幅の広い階段の中腹に、一見すると何の変哲も無い一台の機械が置かれていた。
それは音楽を聴けるような機械のようだった。私は、何気なくその機械のヘッドフォンを手に取り、そこから流れてくる音を聴いていた。
それは音楽に違いないのだが、心地よい音の流れというよりはむしろ、脳を刺激することを意図して作られたような人工的な音だった。しばらくその音を聞いていると、自分の脳の側頭葉が随分と刺激されていることがわかった。
奇妙なことに、側頭葉が刺激され始めると、その部分の血行が良くなり、頭の側部にかゆみが生じ始めた。私はヘッドフォンを元の場所に置き、刺激された側頭部をかきながら、建物内の別の場所に向かって歩き始めた。
まだ脳が刺激されているような感覚があり、そうした感覚の余韻に浸ったまま歩いていると、少しばかりめまいがした。体が少しふらついたところで一度立ち止まり、呼吸を落ち着かせた。
一瞬まぶたを閉じ、再び目を開けると、自分の脳がこれまでとは違う速度で動き始めていることに気づいた。具体的には、視界に入る現象を生み出す因果関係や論理の奥の奥が見え始めたのである。
例えば、今私の目の前を通り過ぎていった一人の青年の姿や歩き方などの数少ない情報から、彼がなぜ今のこの瞬間にこの場所にいて、これからどこに向かっていき、このショッピングモールで何を買おうとしているのかが全て分かってしまうのだ。
因果や論理の錯綜した鎖が、一瞬のうちに解けていくような感覚がそこにあった。自分の脳の機能が格段に向上し、私は不必要なほどに、目の前に生じている事物の因果と論理を一瞬にして把握してしまうかのようだった。
ある一つの現象は、ぐちゃぐちゃに配列されたルービックキューブとして目の前に提示されるのだが、その配列を一瞬にして秩序のあるものにしていくような力を発揮している自分がいた。不思議な音を聞いて獲得されたこの奇妙な能力を持って、私は建物内の最上階に向かった。
その階に到着すると、広大なフロアがレストランのような内装になっていた。しかし、そこはレストランではなく、数多くの半個室になった席で、多くの人がポーカーに興じていた。
私はしばらくそのフロアを歩き回り、そのフロアで一番技量の高い者たちが集まっている席はどこかを確認していた。どの席も皆真剣にポーカーをやっている。
すると、半個室の席ではなく、地べたでポーカーをやっている集団を見つけた。そこでポーカーをしている人たちの年齢は、他の席でポーカーをやっている人たちよりもずいぶん若く見えた。
だが、私は一瞬にして、彼らが他の席の者たちとは全く異なる次元の知能を持っていることを遠目から察知した。自分がポーカーをする場所はそこだろうという思いが芽生えた時、私はその集団に近寄って行った。
すると、彼らはトランプを用いてポーカーをしているのではなかった。驚いたことに、無数の和書を使ってポーカーをしていたのである。
一人の人物が地べたに一冊の和書を置く。それに対して、別の人物が何かを考えた後、また一冊別の和書を置いていく。
そこでは、その者たちにしか分からない独自のルールで、書籍を用いたポーカーが行われていたのである。もちろん、そのラウンドで勝てば、場に置かれた書籍を手に入れることができる。
書籍はトランプであり、同時にチップでもあった。私はポーカーの初心者を装い、自分も混ぜてほしいとお願いをした。
その場でポーカーに興じていたのは、五、六名の男女だが、全員が一瞬私の申し出に表情を歪ませた。おそらく、彼らは私にはこの特殊なポーカーなどできはしないという考えがあったのだろう。
そこで私は、場に置かれた一冊の書籍を指差して、その書籍の内容について簡単に説明した。すると、彼らは何かを察知してくれ、私がゲームに加わることを快諾してくれた。
だが、彼らはこの特殊なポーカーのルールについては一切説明をせず、自分で理解をすることを私に黙って強制していた。実はこのゲームに参加の申し出をした時に、おおよそどのようなルールでこのゲームが行われているのかを理解していた。
ルールは至ってシンプルであり、和書を出そうとする人物の瞬きのリズムと視線を動かす角度から、クラシック音楽のいくつかの曲を連想し、その人物の表情から感情を推察し、その感情に最も合致した曲をまずは選定する。
そして、選定された曲のテーマを一つの概念として抽出し、その概念について最も詳しく解説されている和書のあるページを想起する。そのページに対して一つのアルゴリズムを適用し、1-12の数字に換算し直し、その和書が場に置かれた瞬間に、換算後の数字が場に出されたとする、というルールであった。
全ての人物が黙りながらも、その独自のルールを共有していることに、私はある種の興奮を覚えていた。さらに、このポーカーでは、一つ一つの和書が置かれた時に、和書を置いた人物が独自の意味を込めながら隠れた数字を場に提示していることに気づいた。
つまり、そこでは単に勝ち負けを競っているのではなく、隠れた数字を提示することによって、特殊な意味の媒介と交流が行われていたのである。そうした特殊な意味の媒介と交流が目には見えないところで行われていることに対して、一段と自分の気持ちが高鳴った。
しばらくそのルールに則ってポーカーに興じていると、私はそのルールよりもさらに面白いと思われるであろう新たなルールを発見した。そこで私は、ある一つの行動に出た。
私:「オールイン」 場にいた全員:「!?」 私:「オールインしますね。」
一人の人物:「えっ、オールインですか?ここで?」
私:「はい」 私は笑顔でそのように述べた。その場にいた全員は、少しの間戸惑った表情を見せていた。
というのも、進行していた意味の文脈からすると、そこでオールインをすることは考えられないことだったからである。まさに自分の取った行動は、文脈から逸脱したものだった。
しかし、私の意図はまさに文脈からの逸脱であり、しかもそれは単なる文脈からの逸脱ではなく、逸脱による新たなルールの創造を意図していた。その場にいた全員は、しばらくの間、私の取った行動の意味について考えているようだった。
しばらくすると、全員が「あぁ!」という感嘆の声を漏らした。 一人の人物:「なるほど、そういうことでしたか。参りましたね。どうぞここにある全ての本を持って行ってください」 私:「いえ、勝ち負けを競っていたわけではないので、本はいりませんよ。ゲームに加えていただき、どうもありがとうございました。とても楽しかったです」 私は全員にお礼を述べ、その場を静かに立ち去った。同じフロアでは、まだ多くの人たちがポーカーに興じていた。
私の目には、彼らはポーカーのルールを理解していながらも、結局そのルールの範囲内でしか思考することのできない人たちに思えた。2017/11/16(木)07:37
No.435: Equilibrium and Harmony in My Daily Life Before starting today’s academic work, I spent a couple of hours to analyze Chopin’s music scores and to learn music theory from a text book.
Allocating my time to some different activities bestows equilibrium and harmony upon my daily life.
From now, I will read a book about artificial intelligence, although the topic is irrelevant to my current research. 10:52, Wednesday, 11/29/2017