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1662. 自己、この未知なるもの


書斎の中に音楽だけが静かに流れる夜。辺りは真っ暗であり、自分の内側の世界と呼応するかのように、外の世界も静かだ。

自分は今、欧州の地にいる。オランダという国にいるということを、なぜだか強く噛み締める夜だ。

今日は朝からとても寒い。早朝、大学のキャンパスに行く際に、マフラーを持って自宅を出発しなかったことを少し後悔するぐらいに、今日は寒い一日であった。

これからこの地は、冬に向けての準備を始める。それに際して、自分は準備をしているだろうか。

準備に準備を重ねたとしても、今年の冬に経験されることは、今の私の予想を超えたものになるであろうことが予想される。

準備を超え、予想を超えた経験をもたらすもの。それが今年の冬の一つの大きな特徴だろう。

自分がこの世界に存在していると言える確かな実感が欲しい時がある。自己がこの世界に存在しているという確かな実感。今日は昼間から、そのような実感の存在証明について考えが一瞬及んだ。

自分の認識をどのように保てば、あるいは、どのように変容させていけば、自分がこの世界に存在しているということを証明することができるのか、という問題である。欧州での日々は、いつも私に一人の人間として生きていくことに関する問題を突きつけてくる。

就寝前の不気味な思念の創発だけではなく、日中の一挙手一投足の中に、一呼吸の中に、自分が人間として生きることの問題を考えさせる契機が宿っている。

自分は果たして存在しているのだろうか、自分はなぜ欧州の土地にいるのか、という問いが生まれたのは、昼間に洗面所で手を洗っている時だった。水道の蛇口を閉じた瞬間に、それらの問いが開いた。

そして、その問いを契機として、連続的な思念のうねりが流れ出した。閉じたはずの水道の蛇口が、静かに銀色の光を発していた。

何度でも、何度でも繰り返し書き留めておきたいと思う。自分が何を考え、何を感じながら異国の地で日々を生きているのかということを。

今から十年後の自分はやってくるのだろうか。やってくるのであれば、その時の自分は今綴っている一連の日記をどのような気持ちで読むのだろうか。

今から二十年後の自分はやってくるのだろうか。やってくるのであれば、その時の自分はこれらの日記をどのような気持ちで読むのだろうか。

今から八十年後の自分にわかってほしいこと、伝えたいことが一つあるとすれば、今の私はできる限り毎日を懸命に生きているということだ。 今の生活を選択したのは自分である。過去の自分には戻れないほどに、変容の波が自分を違う場所へと連れていく。内面世界の中で、もはや戻れない場所がいくつも増えた。

同時に、外面世界の中でも、もはや戻れない場所がいくつも生まれた。進むことは、戻れなくなるということを影に内包しているのかもしれない。

昨年の自分はどこに行ってしまったのだろうか。それを探そうとするのは無意味であろう。

もしかすると、今の自分を定位させることも無意味な試みなのかもしれない。人が一生涯にわたって変容を遂げていくということ。それは極めて恐ろしい現象であるように思える。

自分が未知の世界に足を一歩一歩踏み入れていくことが恐ろしいのではない。変容に伴い、自分の存在そのものが一層未知なものになることが恐ろしいのだ。

変容の一歩は、未知なる世界への一歩ではない。自己の存在そのものがさらに未知なる存在に化すという恐怖がそこにある。

明日への一歩。それはさらに自己が未知な存在に変貌を遂げることを意味する一歩である。

その一歩の重みを受け止めながら、それでもまた新たな一歩を踏み出していくことができるだろうか。2017/10/18(水)20:43

No.307: Trial and Error for Music Composition Trial and error is a vital element for our learning.

I compose music every day little by little.

I try to apply a new concept and technique to my music work whenever I compose music. That is kind of my musical experiment.

The continuous trial and error will someday open a new window on my music composition. Until then, I will engage in the ceaseless trial and error.

This principle is applicable to all kinds of learning. 09:35, Thursday, 10/19/2017

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