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1607. 欧州での日々


夕食後、ソファに腰掛けながらぼんやりとしていた。思考と感覚を手放し、ただその場にいたということが、後々になって気付くような形で少しばかり時間を過ごしていた。

以前は夜の十時まで明るかったフローニンゲンの空も、今ではもう八時前にはすっかりと暗くなっている。遠方で犬の鳴き声が聞こえ、雨に濡れた道路の上を走る車の音が聞こえる。

今日という一日を振り返ってみると、非常に充実した一日だったように思う。事前に計画をしていた仕事が次々と片付いていき、全てが何の滞りもなく進んでいった。

読もうと思っていた七本の論文も全て読み通すことができ、明日からは少し余裕ができた。教育の混沌とした現状に対して、システム科学のアプローチを活用した専門書 “Rethinking the education mess: A systems approch to education reform (2013)”を明日読もうと思う。

本書はハードカバーであるが、150ページほどしかないため、明日中に読み終えることができそうだ。今年一年間は、教育科学と教育哲学に関する論文や専門書を読むことが多くなるだろう。

そして、それらの領域と関係付ける形で、システム科学とネットワーク科学の探究を少しずつ進めていく。また、明日は上記の書籍を読み終えたら、「実証的教育学」の最終課題で課せられている論文の執筆を進めていきたいと思う。

以前紹介したように、こちらの課題は分量が多い。論文に盛り込むべき事柄の大枠はすでに頭の中にあるため、明日は午後の時間の大部分を使って文章を書き進めていきたい。

この課題の論文執筆が10月の半ばあたりに終われば、今学期の課題は随分と楽になる。毎日が文章を読むことと書くことの中で過ぎ去っていく。

このような形で日々を積み重ねていくことは、私が最も望んでいることなのだが、冷静に考えてみると、これは少しばかり特殊な日々の過ごし方なのかもしれない。自分が置かれている環境には絶えず感謝しながらも、やはりこうした環境に身を置いていることの特殊性に考えを巡らせることが時折ある。

この世界がやたらと遠く感じられたり、やたらと近く感じられたりすることがあるのだ。完全に独りでこの世界に生きているように思えることがあったり、自分は独りではなく、全てと繋がってこの世界を生きているように思えることがある。

この世界は徹底的に遠く、徹底的に近い。生きることは徹底的に孤独であり、徹底的に孤独ではない。こうした対極性の振り子に揺られながら、私の毎日は過ぎていく。

一日が静かに終わりに近づく頃、自分の中で今日も少しばかり前に進んだという感覚や、何かが自分の中に小さく積み重なり、また少し何かが深まったような感覚がする。しかし、進むということや深まるということが一体何なのかわからなくなるような感覚に陥ることがある。

「進む」というのは、どういうことなのだろうか。「深まる」というのは、どういうことなのだろうか。毎晩毎夜、いつも全てがわからなくなる。

次の日の朝、わからないことに気づかない形でまた新しい日が始まる。そして、その日の夜にまた、結局その日一日は何だったのかを問う自分がいる。

わかった日など一度もなく、自分に問わなかった日など一度もない。わからないままに問いながら、欧州での生活は続いていく。2017/9/30(土)20:19

No.252: Postscript to the Previous Entry Just after finishing writing the previous entry, I came up with an idea of how to constantly engage in philosophical work.

The only way I found is continuously writing about personal and social issues that intensely capture me. The starting point must definitely locate in my existential themes and social issues both of which mutually affect one another.

In order to tackle the themes, I need to devote myself to continuous writing.

Knowledge about the topics are fundamentally important, but it is not foremost prioritized to engage in philosophical work.

What I need is much more vigorous zest to explore my existential themes, much more ardent commitment to tackle social issues, and much more strenuous effort to continuously write. 16:31, Sunday, 10/1/2017

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