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1538. 虚ろな目をした人々

September 23, 2017

真っ暗闇の中、木々が不気味に風に揺られている姿がかすかに見える。早朝、小雨が書斎の窓ガラスに吹き付けているのを見て取ったところで、一日を開始させた。

 

フローニンゲンの街の朝夕はすっかり寒くなった。それらの時間帯においては本当に暖房をつけることを検討してもいいだろう。

 

少しばかり強い風が外の世界を吹き抜ける音が聞こえる。書斎の中では幻想的なドビュッシーの曲が鳴り響く。

 

鬱蒼とした闇の世界を眺め、それとは対照的かつどこか共通なものも内包するドビュッシーの曲を聴きながら、私は昨夜の夢について思い出していた。正直なところ、あまり思い出したくない内容だったのだが、夢のシンボルはそれを再想起させることを私に要求している。

 

再想起を強いてきたシンボルについて書き留めておきたい。私は随分と馴染みのある町にいた。それは実家のある地元の町だった。

 

私は地元の駅から、駅に近い今の家に引っ越す前の自宅に向かって歩こうとしていた。駅から以前の自宅まで仮に歩くのであれば、それは一時間半以上かかるのではないかと思う。

 

だが、それでも私は歩くことにした。道中にある起伏の激しい山を越え、どこまでも続くかのような国道線を歩いていた。

 

この国道を仮に二つに分けるのであれば、片側は山側の道、もう片方を海側の道と呼ぶことができるだろう。私は海側の歩道に沿って歩き続け、ある地点で足を止めた。

 

それは単純に横断歩道に捕まったからである。左右を確認し、車が来ていないことを確認すると、赤信号であったが私は横断歩道を渡った。

 

横断歩道を渡りきると、そこで私は山側の歩道を歩いていこうと思い立った。先ほどの横断歩道を渡りきったところに、ちょうど海側の歩道から山側の歩道に行ける横断歩道がある。

 

この大きな国道を渡るには、この横断歩道を渡るのが一番安全だ。普段はあるはずの横断歩道の押しボタンが見つからず、少しばかり戸惑ったが、時間がきたら青に変わるだろうという軽い気持ちで私はその場に立っていた。

 

しかし、いつまで経っても信号が青に変わる様子がなかったので、赤のまま渡ることにした。その時、背後に人の気配がしたのでふと後ろを振り返ると、私の後ろに何十人もの人が信号を待っていることに気づいた。

 

だが、彼らの目はどこか虚ろであり、黒や灰色の影が彼らの背中越しに見える。彼らのその虚ろな目では、この世界が鮮明に見えていないようなのだ。

 

私は、この見晴らしの良い国道の左右を確認し、横断歩道を赤で渡り始めた。道の真ん中まで私が先頭を切って歩いていると、そこで私は足を止めた。

 

どうも私の後ろにいた人たちは、自分で国道の左右を確かめることなどせず、虚ろな視線を地面に落としたまま、単に私の後をついてきているようなのだ。私が道の真ん中で立ち止まった時、人々はぼんやりとしたまま惰性で横断歩道を渡り続けていた。

 

そこで突然、一台の乗用車がものすごい勢いで山道を駆け下り、左折をし、横断ほどに侵入してくるのが見えた。車の侵攻方向には一人の女性が虚ろな目をしたままゆっくりと横断歩道を渡っており、「危ない!」と声を出すことができないほど一瞬にして、車がその女性をはねた。

 

私の目には、車にはね上げられ、宙を舞う女性の姿が、車の速度とは対照的にスローモーションで見えた。その女性は頭から国道に叩きつけられ、頭蓋骨とアスファルトの道がぶつかる鈍い音が響き渡った。

 

その音が人々の目を覚ますことになったのか、虚ろな目をしていた人々が我に返り、女性の元に駆けつけた。しかし、彼らはどうしていいのかわからず右往左往しているようであり、「すぐに救急車を呼びます!」と私は声を発した。

 

車の速度と女性がはね上げらた高さ、そして何より、そのまま頭から真っ逆さまに国道に叩きつけられ、頭蓋骨が砕ける鈍い音が聞こえた私にとって、もう手遅れだろうとわかっていたが、それでも救急車を呼ぶことにした。

 

私は救急車が駆けつけたのを確認したところで、山側の歩道を再び歩き始めた。歩道を一歩一歩あるくたびに、頭蓋骨がアスファルトの道にぶつかるあの鈍い音が聞こえるかのようだった。2017/9/13(水)

 

No.184: No Beginning and No End
There is no beginning and no end in our reality. 

 

The weather in Groningen in this season is very unstable. It suddenly began to rain in the evening. 

 

Taking a glance at rain, I immediately realized that it was not the beginning of rain because I noticed that sunshine would come soon. 

 

The point is that the beginning of something already foretells us its end and a new beginning after the end. 

 

We may be able to admit that there is no beginning and no end in our reality because everything always includes a beginning and end simultaneously. 

 

This principle can be true to our life. Friday, 9/15/2017

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