
ノルウェーのあの雄大な景観を彷彿させるようなエドヴァルド・グリーグのピアノ曲が流れる時、その場に静かにたたずむ自分がいた。何か尊い瞬間が訪れ、その瞬間をいつまでも感じていたいという気持ち。
そうした気持ちとは裏腹に、その尊い瞬間が去った後に残る、あのどことなく切ない気持ちの中に今の自分がいる。切ないと感じさせるこの感覚の衣を恐る恐る取り除き、その本質的な感情に焦点を与えた時、それは感謝の念だった。
今、私は決して切なさの中にいるのではなく、豊穣な感謝の念に抱擁されているのだという確かな感覚がある。その感覚の中に身を委ね、過ぎ去ったその瞬間に対して独坐観念を行っている。
先ほど、およそ二ヶ月半にわたって開催していたオンラインゼミナールの全てのクラスが終了した。 多くの方々が参加してくださった今回のゼミナールが終了し、何かが終わるということは始まりを意味するということを自己の深層から理解し、終わりが始まりになるその瞬間を見届けるかのように、書斎の机の前で静かに座していた。
何かを終え、何かを始めるにあたって、終わりを告げたものを真に嚙みしめることがなければ、次の始まりはないのではないだろうか。体験から体験に飛び移ってはならない。
一つの体験があるべき時間をかけてあるべき姿に完了していくまで、他の活動に乗り出してはならない。そんなことを思いながら、私はただ静かに椅子に腰掛けていた。
書斎の窓の向こうには、小雨がしきりに降り続いている。一粒一粒の雨滴がどことなく愛おしい。 今回のゼミナールに参加してくださった方々は、私を含め、他者の成長に関与しながら、自己そのものを深めていく実践に従事しているのだと思う。私たちという存在は固有の歴史を持ち、なおかつ自己を超えた存在を常に内包しているという特徴を持つ。
つまり、自己の中には常に自己を超えた存在が内在しているのだ。発達の要諦というのは、その語源にあるように、「開く」ということであり、支援者がなすべきことはこの「開く」という本質現象を支えることなのだと思う。
支援者はいわば、他者の現在の自己とその先に待つ今の自己を超えた存在との間に立つ中間者であり、開くというプロセスに触れるという意味で媒介者である。支援者に求められるのは、傍観でも強制でもなく、媒介的関与なのだ。
他者の中にすでに宿っている今の自分を超えた存在へと、他者を開いていくプロセスに関与することが、支援者に求められる役割なのではないだろうか。そして私たちは、もう一つ重要な事柄を考える必要がある。
確かに、自己を深め、他者の成長支援を行っていくことは尊い営みである。しかし、ここで考えてみなければならないことは、「私たちが生きていく中で、成長や発達よりも大切なことは何だろうか?」という問いである。
この問いと向き合い、その問いに対する自分なりの答えを持つこと。それは暫定的な答えであっても構わない。
とにかく、この人生の中で、成長や発達よりも大切なことが何かを、私たちは自分で見つけ出さなければならない。さもなければ、現代社会で蔓延する成長主義的な物語に絡め取られ、成長や発達の本質を見失うことになるだろう。
現代社会に浸透する成長主義的な物語の枠組みの中で成長や発達を捉えている限りでは、自己が真に深まることなどなく、他者の成長を支えることなどできはしない。既存の物語の中にいてはダメなのだ。
既存の物語から抜け出し、今この世界に存在していない新たな発想の枠組みで成長や発達を捉えていく必要がある。個人・組織・社会の成長や発達を真に実現させていこうとするとき、自分の中で、先ほどの問いに答えられるかがカギを握るだろう。
その答えを自分の中に見つけることができたのであれば、それは、成長や発達を取り巻く既存の物語から一歩外に出たことを示唆している。私たちの人生において、成長や発達よりも大切なことは何だろうか?
この問いに対して正しい答えや間違った答えなどない。あるのは、自分の中に自分なりの答えがあるかどうかだ。2017/9/9(土)
No.171: Our Brains and Learning The continuous learning cycle from the prefrontal cortex and older regions in the brain fosters our learning.
In general, we activate the prefrontal cortex when we learn something new. As we continue to learn——as we construct our knowledge and skills, we less and less rely on the region in the brain.
Instead, our performance is executed, activating the older regions in the brain that have existed for thousands of years. Roughly speaking, the prefrontal cortex deals with our thoughts, whereas older regions (e.g., the parietal lobe and the temporal lobe) in the brain cope with our senses and feelings.
Our learning should activate not only the prefrontal cortex but also older regions in the brain so that we can master learning materials in a deeper way and embody them into our practice more richly. Tuesday, 9/12/2017