北欧旅行からフローニンゲンに戻ってきての二日目が始まった。書斎の窓から見える木々の優しい揺れと同様に、自分の心もただただ穏やかだ。
今日から再び自分の仕事に集中できるという予感がする。夏季休暇も早いもので、残り三週間ほどとなった。ここから集中的に未読の専門書を読み進め、フローニンゲン大学での二年目の研究に備えたい。
しっかりとした準備をすること。準備に次ぐ準備の中で自分の仕事を少しずつ前に進めていくこと。それだけが今の自分にできることであり、それこそが自分の望むことである。
ノルウェーのベルゲンの初日に風邪の初期症状を患ったが、今となってはすっかりと回復した。普段も旅行中も栄養のある食事と十分な睡眠を取ることだけは心がけているため、後は外の気候に合致した格好をすることだけを心がければいいという教訓を得た。
昨日、チーズ屋の店主と立ち話をしたところ、やはり今年のフローニンゲンの夏は昨年に比べて涼しいようだ。25度を超える日がほとんどなく、20度前後の日が続く。
今朝も気温が低く、長袖長ズボンを着用しながら書斎の中で過ごしている。そうした中、今の書斎に響き渡っているのは、エドヴァルド・グリーグの曲だ。昨日も絶えずグリーグの曲を流しており、北欧の旅の感覚が自分の中で落ち着くまでは、しばらくグリーグの曲を聴き続けることになるだろう。 起床直後に英文日記を二つほど書いた。北欧旅行の前までは、起床直後に日本語の日記を一つか二つ書く習慣があったが、その前に英文日記を執筆することが自然と新たな習慣となった。
自分の日本語が、完全に言語宇宙の最果てに辿り着けるように、今の言語空間から日本語を外に激しく押し出すぐらいに英語を書きたいという衝動が姿を現し始めた。これから徐々にこの衝動を育て、そのエネルギーをそのまま学術論文の執筆に流し込んでいきたい。 夏季休暇に入ってから毎晩、自分の人生の最後の日について思う。具体的には、自分の人生が残り一年、あるいは一ヶ月であるとわかったら、何をしながら日々を過ごすのかということを毎晩の就寝前に考える自分がいるのだ。
これは何かの確かめであり、決意と方向性の確認である。読むに読む以上に書きに書くということを最優先させる毎日。そして、書きに書くというよりも、「表現に表現する」ということの中で最後の日を迎えたいという決意に満ちた静かな願い。
そうした願いの中で、毎日を終えているのが今の自分だ。
昨夜おぼろげながらに、自分の人生の最後の一年は、これまでの自分が書いた日記を最初から読み返し、自分の人生全てを振り返りながら静かに人生の幕を閉じてく姿が見えた。若かりし頃の数十年前の日記から始め、一つ一つの日記に人生最後の自分がまた考えや感情を書き足していくのだ。
そのように、絶えず自己を著述し、絶えず自己を編纂しながら人生を終えるという姿。見えたのはそのような姿だった。 就寝前にもう一つ小さなことを考えていた。過度な一般化はできないが、少なくとも芸術や学術の領域で偉大な仕事を残してきた過去の人物たちは、二つ以上の表現形式をもって自らの仕事に打ち込んでいたということだ。
グリーグやムンクが二つの表現形式を持っていたことは以前に述べた通りである。また、思い起こしてみると、バッハ、モーツァルト、ベートーヴェンも日記や手紙など文章を絶えず書く人間だった。
絵画であれ、音楽であれ、彼らの仕事を支えるものの中に、自然言語によって文章を書くことがあったということは見逃せないことだと思うのだ。彼らの手紙や日記類を見ていると、一見すると芸術に関係のない事柄が記させていたりするが、そうした事柄すらも彼らの芸術活動の大切な養分になっていたように思えて仕方ない。
また、彼らは手紙や日記の中で、自らの芸術表現に対して様々な事柄を実験していたように思う。これは芸術表現における思考実験の類だ。
彼らは絶え間なく書くということを通じて、自らの芸術表現をより高いものにしていったに違いない。書きに書き、表現に次ぐ表現を今日からこれまで以上に推進させていく。2017/8/17（木）
No.86: The Decline of Energy of Modern People We have various types of energy such as physical, mental, and spiritual energy.
In general, the energy of modern people are draining away. The amount of their energy tends to decline gradually.
I am concerned about the situation that many people are losing their energy to actualize their wholesome development. The present situation is so disastrous that people cannot attain their well-being. Thursday, 8/24/2017