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1427.【北欧旅行記】夏の雪景色


オスロを出発してから四時間ほどが経った頃、景色が一変した。濃い色の湖からエメラルド色の湖に変わった。森林に覆われた山々が幽玄な禿山に変わった頃、辺りに雪景色が広がった。

今の季節はいつだろうか?確かに夏だ。

冬の先取りか冬への後戻りか、私はしばし夏を忘れた。薄い靄が辺りを包み、その中に雪の残る山々が荘厳にそびえ立っている。

湖の脇にある山道にはどこまでも続くサイクリングロードがあり、自転車に乗って山道を進む人たちの姿が時折見える。このような雄麗な景色の中をサイクリングすることはどれほど爽快だろうか。

オスロを出発した頃の外気は10度後半であったが、今は8度を示している。列車で相席となったノルウェー人の家族が、終始仲良く話をしている。

祖父母、両親、そして三人の娘たちが旅の思い出を一緒に作っている様子はとても微笑ましい。一番下の女の子は10歳ぐらいで、終始好奇心に溢れた目を輝かせながら、両親や祖父母に何か質問している。

私はノルウェー語は一切わからないが、その女の子の質問や発言が家族全体を和ませていることだけはわかった。私はてっきり、途中で相席となったこの家族とベルゲンまで一緒になると思っていたのだが、先ほどの雄大な景色の見える駅でこの7人の家族と別れた。 ベルゲンまであと二時間ほどとなった。この先どれくらいこの景色が続くのだろうか。そのようなことに思いを巡らせていると、みぞれのような雨が降り始めた。

山の中腹にある一つの駅に到着した時、乗り換えのためか、列車がそこで数分間止まった。その間に何人かの乗客が窓側に集まり記念撮影を始めた。

この先に待つベルゲンはどのような街なのだろうか。事前にこの街に関して調べていたが、そうした知識的な関心ではなく、体験的かつ感覚的な好奇心をこの街に寄せている。

山と山の間から滝が姿を現し、それが流れの急な川を作っている。白い水しぶきを上げながら、川は上から下に流れていく。この流れは下から上には流れない。それは一つの自然法則だ。

滝が流れ落ちていく様子は、一者に向かおうとする上昇的なあり方を緩めてくれる。一者から多者に向かっていく下降の道を忘れてはならない。

山というのは登ることが難しいのではない。実は山から降りることが難しいのだ。いかに山から降りるかは、誰もが考えなければならないことではないだろうか。

絶えず上昇することを私たちに突きつける現代社会において、他者の作り上げた山への登り方を説く情報は枚挙にいとまがない。しかし、自分の山へ登り、そこからいかに降りてくるかを説く教えはほとんどないことを改めて知る必要があるろう。

なぜ人は他者が作り上げた山へ懸命にしがみつき、そこを登ろうとするのだろうか。なぜ自分の山を見つけようとしないのか。自分の山を見つけて初めて、山へ登るという歩みが始まり、そこから初めて山を降りるという真の歩みが始まると思うのだ。

列車がノルウェーの深い森をゆっくりと、ただゆっくりと進んでいく。雪の残る禿山から再び辺りが緑色の世界に包まれる。

目の前に高く高くそびえ立つ森林に覆われた山々が、自分の心の中に自分独自の山を築いていく。私は、今眼の前に広がるエメラルド色の激流のようには進めない。

ノルウェーの森の一本の大木が育まれたのと同じぐらいの時間をかけ、ゆっくりと自分の歩みを続けたいと思うのだ。2017/8/12(土)

No.72: Words, Senses, and Beings Our words encapsulate our senses and beings. People are sometimes apt to neglect words and to rely on senses.

However, it demonstrates that they devalue the worth of words and their beings because all of the three are interdependent. Words, senses, beings are one indivisible entity.

Thus, modern people who are likely to count on their senses are losing their authentic words and beings. Sunday, 8/20/2017

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