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1411.【北欧旅行記】エマーソンからの贈り物


今日はあらゆるところで遅延が発生しているようだ。気づけば早いもので、デンマークのフレデリシアという町に到着した。

ここはデンマークの片田舎の小さな町であり、この町に居住している人の数は少なさそうに思える。予定よりも20分ほど遅れてこの町に到着し、乗り換え時間が10分しかないため電車をまた逃したかと思ったが、全ての路線で遅延が出ているようだ。

一体何が原因なのかと思う。今はやはり夏のバカンスと重なっており、ハンブルグからフレデリシアに向かう特急列車はとても混雑していた。

各国から様々な人が旅行で行ったり来たりしているためにダイヤが乱れたのだろうか。先ほどの列車の中でもドイツからデンマークに入る時にパスポートコントロールがあった。

各国の出入りの際にパスポートコントロールが行われていたら、確かにダイヤが乱れるのも無理はないと思った。結局、フレデリシアからコペンハーゲンに向かう列車も30分ほど遅れて到着し、先ほどこの列車に乗り込んだ。

この列車は満席とまではいかないが、それでも思った以上に乗客が多い。列車の車窓から見える景色もそれほど良さを感じられず、景色から得られるインスピレーションはほとんど無い。

だが、先ほどの列車の中で、エマーソンの全集を読み、自らの心の有り様を見直す必要があると思う。エマーソンの審美眼と言語に対する認識を大いに参考にしなければならない。

自然の至る所に霊性を見出すことが可能であり、それを言葉の形で新たな生命を吹き込むことができるというエマーソンの思想には多大な共感の念を持つ。

まさに今置かれている状況から考えると、それは時期を得た啓示的な言葉だった。850ページに及ぶエマーソンの全集の中で、最初に出版された “Nature (1836)”を読み進めている。

今から200年近くも前に書かれたこのエッセイは、全く色褪せることなく、非常に大切な事柄を指摘している。特に、美を取り上げている第三章と言語を取り上げている第四章は、今後繰り返し読みたいと思う。

下線や書き込みの量を見るにつけ、エマーソンの思想に感化されることが多いようだ。エマーソンは、これまで自分が何となく思っていたような事柄を明瞭な言葉で語ってくれている。

美に関する認識も言語に関する認識も、ここからさらに深めていく余地があることを嬉しく思う。エマーソンはマサチューセッツ州生まれの米国人であり、この時代に書かれた英文というのは往々にして古めかしさを感じるものなのだが、エマーソンの文章にはそうしたことが一切感じられないのは何故なのだろうか。

確かに、現代では使われない古語がわずかばかり紛れ込んでいるが、そうしたものが含まれていたとしても、全体として古さを感じさせず、むしろみずみずしさを感じさせることは驚くに値する。

200年経った今でも鮮度を保っていられるのは、エマーソン自身が指摘しているように、言葉に生の躍動を具現化させることが可能であり、彼自身の言葉が常に不滅の生命力で満たされているからなのだと思う。エマーソンの全集のおかげで、今真っ只中にある北欧旅行がよりみずみずしいものになりつつあることを有り難く思う。

エマーソンの言葉は、とても貴重な贈り物だ。2017/8/8(火)

No.56: Omnipresent Existence A merciful wind is blowing outside the window. It symbolizes the serene stream of my inner world.

Let’s not see either the inner or outer world. Instead, let’s see the both worlds simultaneously, and we will find us anywhere in this reality because our existence is omnipresent. Thursday, 8/17/2017

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