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1400. 能力測定の現状と今後


今日の午前中、オンラインゼミナールの第三回目のクラスが終了した。今日はお盆休み前の最後のクラスであり、ゼミナールはここから二週間ほどの間隔が空く。

これまでの三回は毎週末に行われており、一度中休みを挟むことで、これまでのクラスの内容をゆっくりと振り返ることや受講生同士の自主勉強会が開催されるゆとりに繋がってくれればと思う。学習において、こうしたゆとりというのは非常に大事だろう。

新しい概念や知識を詰め込むのではなく、それらをこれまでの自分の知識や経験とゆっくり照らし合わせていくことがなければ、学習が深まることはないだろう。 昨日と今日のクラスの中で、カート・フィッシャーのレベル尺度を活用した能力測定について紹介した。特に、マサチューセッツ州のレクティカが提供しているアセスメントサービスについて、それがどのような目的でどのように活用されているのかを紹介した。

レクティカのアセスメントサービスの形式は、それが教育の世界で用いられようとも、企業社会の中で用いられようとも、ケーススタディに文章で回答していく形を取る。

例えば、教育において、物理のエネルギーという分野の学力——知識と経験の活用力——を測定したいのであれば、現実世界の中で実際に遭遇する物体のエネルギーに関するケースを問題として与え、それに文章で自由に記述していく形式を採用する。

同様に、企業社会においてリーダーの意思決定能力を図りたいのであれば、企業のリーダーが実際に直面するであろう課題をケースとし、それに対して文章で記述していくという形式を採用する。クラスの中では、具体的にどのような観点で分析作業を進めていくのか、そして人工知能と能力測定の関係、さらにはレクティカで提供されるアセスメントレポートの概要を紹介した。 フィッシャーのレベル尺度を活用すれば、具体的な行動についてもアセスメントすることができるのだが、学校教育の場において学力を測定する際に、そして企業社会で発揮される能力を測定する際には、言葉に着目をして分析をすることが重要になる。

実際にレクティカのサービスも言葉の内容と構造を分析するということを行っている。私たちは、知識や経験を活用する際に、それがいかに身体的な動作として現れようとも、その背後には言葉で構築されたメンタルモデルが大なり小なり存在している。

まさに、レクティカが行っているのは、そうしたメンタルモデルの質的差異を測定しているのだ——メンタルモデルは知識と経験の構造的な構築物であり、タイプ論的なマインドセットとは異なる。コールバーグ、ラスキー、キーガン、クック=グロイター、トーバートたちのアセスメント手法は、基本的に発話内容に着目することはなく、発話構造の質的差異だけに着目する。

一方、レクティカのアセスメントは発話内容と発話構造の双方に着眼して評価をする点が特徴的である。昨日の日記で書き留めていたように、発話内容と発話構造には密接な関係があることが明らかになっている。

そのため、発話内容だけに囚われてしまうことは論外であるが、実は発話構造だけに着目することも十分なアセスメントではないのだ。 また、私たちが能力を発揮する上で、言葉にならないような暗黙知や感覚のようなものが介在していることは確かである。しかし、それらを客観的に測定することは今の科学技術では難しく、レクティカの測定手法でもそれらを測定することはできない。

もちろん、アセスメントセンターなどを活用して、実際にどのような行動が取られているのかを分析することにも価値はあるが、同じ行動でもその行動を生み出す背後にある意味の差異、つまり行動を生み出すメンタルモデルの質的差異が存在していることを忘れてはならない。

残念ながら、アセスメントセンターを含め、行動に着目する既存のアセスメント手法では、こうした行動の裏にある意味や行動を生み出すメンタルモデルの質的差異を評価することができないのだ。全てのアセスメント手法と同様に、レクティカのアセスメント手法も完全なものではなく、限界を持つのは確かである。

それは上記で指摘したように、暗黙知のようなものや直感的な感覚を測定することできないことに現れている。視力を測る目的があるのに、体重計に乗る人はいないように、私たちは何をどのような目的で測定するのかを明確にし、その目的に合致するアセスメント手法を適切に選び取るという慧眼が必要だろう。

そして願わくば、「アセスメントのためのアセスメント」で終わらせるのではなく、「育成のためのアセスメント」を常に念頭に置き、アセスメント結果をどのように学習や成長支援につなげていくのかを考えていく態度を持つ必要があるだろう。2017/8/6(日)

No.45: KODE Art Museum of Bergen Because I had a sore throat, I wanted to sleep early last night. I recuperated my strength because of an enough rest, so I can start today energetically.

Today, I would like to visit KODE Art Museum of Bergen. Munch beckons me to his world, thus I will see his work today.

His zeal for art and his soul to eternity are still alive at least within me. Sunday, 8/13/2017

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