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1238. 組織の成長:バイファケーション地点への移行手段


現在、私は物理的には日本を離れ、欧州で生活を送っているが、日本の文化や精神性といったものが絶えず今の自分に影響を与えていることを強く実感する。

ただし、私とそれらの関係性については、日本にいた時とは間違いなくその性質を異にしているように思う。この点については、以前の日記にも書き留めていたことであり、その時の日記から思考や感覚に何か変化があったかというと、そうでもない。

そのため、また別のことを考えていた。昨日読んだ、ステファン・グアステロ教授の書籍の中に、組織の文化的硬直に関する話があった。

人においては、その個人の精神が硬直化してしまうことは、成長を押しとどめてしまうことにつながり、組織においては、その文化が硬直化してしまうことは、成長を停滞させることにつながりかねない。

つまり、人も組織も、精神や文化といったものが強いアトラクター状態の中にあっては成長できないのだ。グアステロ教授の指摘の中で、組織の成長において重要なのは、バイファケーション地点に向かっていくことである、という考え方が非常に興味深かった。

バイファケーション地点とは、昨日の日記で書き留めていたように、システムの情報エントロピーが十分に増大した後に、システムが質的な変化を遂げようとする地点である。この地点は、まさに不安定さが極大化している場所だと言えるかもしれないが、組織というシステムが質的な成長を遂げるためには、その地点を通過していかなければならない。

それでは、どのようにすれば、文化的硬直性を抱え、成長が鈍化している組織は、その地点に向かっていくことができるのだろうか?ということを考えていた。すぐに思いついたのは、組織内のエントロピーを増加させることだった。

ここで述べているエントロピーとは、情報やエネルギーの乱雑性のことを指す。組織内のエントロピーが増大するというのは、最もわかりやすい例で言えば、組織内の人同士の対話量の増大であったり、組織内の人間と外部の人間との交流の増加などだろう。

これに関連して、書籍の中で取り上げられていた「ニューラルネット組織」という概念は、私の関心を引いた。これは、組織の構成員一人一人を、一つのニューロンと見立てることを基礎としている。

一つ一つのニューロンは、外部刺激を含め、刺激されるのを欲している。また、一つのニューロンは他のニューロンと連結し、より複雑なネットワークを形成しようとする特徴を持つ。

その時に、一つ一つのニューロンが活性化し、ニューロン同士の相互作用によるネットワークが形成されていけば、ニューロン全体の組織がより成長していく、というのが「ニューラルネット組織」という概念の意味である。

近年の日本の企業社会において、徐々に対話の重要性が浸透し始めているようである。組織内の人同士の対話の実践や組織外の人との対話の実践は、一つの手段として、ニューラルネット組織の形成に一役買うだろう。

もちろん、現在広まりつつある対話実践については、発達理論の観点から述べておきたいことがあるのは確かだが、組織がエントロピーを増大させ、バイファケーション地点に向かっていくためには、そうした対話実践には価値があると思う。2017/6/30

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