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1227. 夢の中での誤認識


早朝未明の激しい雨は、すでにどこかに去り、今は若干の風が吹いていながらも、雨はもはや止んでいる。昨夜の夢について振り返っていた私は、改めてその夢が残した不思議な感覚に包まれていた。

夢の中の何とも言い難い感覚が、未だに自分の内側に残っているような感覚である。それよりもむしろ、夢の中での感覚が、私の何かを浄化し、浄化の余韻に浸っているような感覚と表現した方が正確だろう。

いずれにせよ、昨夜の夢が私の心身に何らかの影響をもたらしたというのは確かである。夢の振り返りを終えた私は、午前中の仕事に取り掛かろうとした。

しかし、それを遮るかのように、昨夜の中で見ていた別の夢について思い出したのである。夢の中で私は、日本の都心でよく見られる、セミナーを開催できるようなビルの中にいた。

そのビル内の、ある部屋の中にいた私は、その前の夢に登場していた友人の一人と談笑をしていた。談笑の途中で、私の視線がその部屋の右隅に向かったとき、そこに一人の英国人と二人の韓国人が地べたに座って何やら英語で話していることに気づいた。

英国人の英語はすぐにそれが英国訛りのものであることが分かったが、二人の韓国人の男女が話す英語は米国英語であった。私は友人と談笑をしながらも、意識が少しばかり彼ら三人の方向に向かっていた。

あるところで、韓国人の男女が立ち上がり、即興劇を始めた。すると、友人との対話に集中することができなくなった私は、友人に一言述べ、劇を始めた韓国人の様子を伺うことにした。

劇が始まってみるとすぐに、それがシェイクスピアの劇であることに気づいた。先ほどまで、あれほど流暢な英語を話していた韓国人の二人は、突如として英語ではなく、日本語でその劇をし始めた。

私は、まずその事実に驚き、そして、二人の日本語がほぼ完璧なものであったがゆえに、二人を日本人かと思うほどであった。正直なところ、その時に私は、これまで持っていた自分の思い込みを改めなければならないと思っていた。

つまり、私が韓国人だと思っていた二人の男女は、本当は日本人なのではないか、ということだった。それを検証するために、劇が終わった後にでも、私は二人に話しかけようか迷った。

だが、私は結局、それをすることなく、その部屋を後にした。その部屋を出た時、廊下で思いがけない人に遭遇した。

それは、先日出版した書籍に関してお世話になっていた編集者の方だった。その方は笑顔で私に挨拶をし、「今からの出版記念セミナーは楽しみですね」と一言述べた。

それを聞いた時、私はこれからセミナーを開催することになっているのだと知った。その廊下の真ん中あたりに位置していた、セミナー会場となる部屋を覗いてみると、すでに多くの人がいた。

私は事前準備を一切しておらず、自分の格好もセミナーにふさわしくないことに対して、少しばかり動揺していた。しかし、そうした心配も杞憂に終わり、いつの間にやら自分の格好がセミナー用のものに変わっていた。

セミナー会場の部屋の廊下には、受付場所があり、その机の上に、今回のセミナーの参加者リストがあった。参加者リストを眺めていると、編集者の方から、「この人が今回の朗読を担当してくれる声優さんです」と一人の女性を紹介してくれた。

今回の書籍は、特に物語風でもなく、登場人物のようなものはいないはずなのだが、なぜだか、書籍の文章を読み上げる際に、それをプロの声優の方に行っていただくことになっていたらしい。私はその声優の方に挨拶をし、編集者の方に本の普及状況について確認をした。

なにやら、影響力を持つどなたかが本書を紹介してくれたようであり、それ以降、本書が多くの方の手元に届きつつあるような状況である、ということを教えてもらった。それを聞いた時、少しばかり安堵感がもたらされ、同時に、本書を執筆した意義のようなものを実感することができた。

その確かな感触を得たところで、私は夢から覚めた。夢から覚めると、第二弾の書籍が多くの人に読まれ始めているというのは夢の中の出来事であって、現実は全くそうではないことに気づかされた。

私はその事実を受け止めながら、午前中の仕事に取り掛かることにした。2017/6/28

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