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1197. ライデン訪問から一夜が明けて


昨日のライデンの訪問から一夜が明けたが、まだその余韻が残り続けている。昨日は、新たな点において感化されるような日であった。

起床直後、昨日についての回想を始めようとしたところ、それよりも先に、昨夜の夢について思い返すことを強いられていた。夢の中で私は、一人の老賢人と対話をする機会を得ていた。

その方は、80歳の日本人の方であり、日本で生まれた後、三歳の時に台湾にわたり、それ以降、36歳までその地で生活をしていたそうだ。知人がかつてその老人のもとを訪れ、話を伺った時にとても感銘を受けたという話を聞いた。

その老人の知識の豊富さというよりもむしろ、一つの知識をいかに深く習得するかに関して、常人の想像を遥かに超えているということを聞いていた。知識の獲得の際に、自らの身体を通じて知識項目と接し、知識を深める際にも、それを自分の身体を通過させることによって、知識が血肉化していくというプロセスを、私たちの想像もつかない次元で行っているらしい。

私はその知人に、その老賢人との面会の約束を取り付けてもらい、老人が住んでいる家に向かった。その家は、小高い山に続く道の中腹にあり、その外見はあまり立派なものには見えなかった。

偶然にも、私の到着に合わせてその老人が家から顔を出し、お互いに簡単な挨拶をしたところで、家の中に招き入れてもらった。すると、家の外見とは対照的に、家の内装はモダンな感じであった。

全てのものが小綺麗に整理されており、リビングと書斎を兼ねた部屋はとても開放的だった。その老人と少しばかり会話をしてからだっただろうか、老人はリビングからロフトのような二階に、一風変わった階段を使って上がっていった。

なにやら、ロフトに大きな本棚がいくつかあり、その中から面白い本を持っていくといい、とその老人はロフトの上から私に言った。布のようなものでできた足場の不安的な階段を、ゆっくりゆっくりと登っていくと、徐々に本棚の姿が見えてきた。

ようやくロフトに到着した時、そこには地面がなく、大きな布団が浮かんでいた。その布団が地面の代わりになっており、先ほどの階段と同様に、足場が非常に不安定であった。

布団に一歩足を踏み入れた時、布団の真ん中に黒い猫が寝ているのが見えた。その猫は老人が飼っているものらしかった。

私がその猫にゆっくりと近づいていくと、猫は目を覚まし、私の方をちらりと見てから、ゆっくりと階段の方に向かい、そこから勢い良く階段を降りていった。猫が一階に到着するまでの時間は一瞬だったが、私はそれを見届けてから老人の方へ向いた。

見ると、四つほどの大きな本棚があり、よくよく見ると、そこに所蔵されているのは日本の漫画だった。知人から話を聞いていたが、この老人は学術書のみならず、漫画もこよなく愛しているとのことだった。

本棚に所蔵されている漫画の背表紙を眺めてみると、私もよく知っているものばかりだった。老人が本棚の漫画について説明を始め、私はあれこれ質問をしながら老人の話に耳を傾けていた。

それは非常にたわいの無いやり取りであり、特に難解なテーマについて話していたわけではなかった。対話が収束に向かうと、私たちはロフトを後にして、一階に降りることにした。

一階に降りる最中に、その老人の生活リズムについての話になった。なにやら、毎日夜の十時からCNNを30分ほど視聴し、少しくつろいでから就寝するとのことであった。

80歳という年齢にもかかわらず、私よりも随分と遅い時間帯まで起きていることに少々驚いた。一階に降りてくると、私は老人の家をお邪魔することにした。

老人は親切にも家の外まで見送りに来てくれた。結局、終始たわいの無い話しかしていなかったのだが、その老人が非常に鋭い知性を持っていることだけはわかった。

家の外まで見送りに出てきてくれた老人に、私は頭を下げ、山道を下って行った。その最中、「知識というのは自らの内側を通して接しなければならぬ」とつぶやいた老人の一言を思い出していた。

終始たわいの無い話しかしていなかったはずだが、その言葉はまさにあの老人のものであった。老人が残したその言葉の意味を少しずつ嚙み締めるかのように、私はゆっくりゆっくりと来た道を歩いていた。2017/6/21

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