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1107. インナ・セメツキーの「教育記号論(edusemiotics)」との出会い


昨日、教育哲学者のジョン・デューイについて少しばかり書き留めていたように思う。“Complexity Theory and The Philosophy of Education (2008)”を読めば読むほどに、デューイが複雑性科学と教育哲学を架橋するような極めて洞察に溢れる指摘を数多く残していることに気づき、大きな感銘を受けた。

例えば、「知識とは単なる所与の事実に還元されるようなものではなく、それは知る者と知られるものとの相互作用をもたらす」という言葉を一つ取ってみても、複雑性科学の発想に相通じるものが如実に表れている。こうした言葉以外にも、デューイが残した教育哲学の節々に複雑性科学の発想が見て取れる。

私自身、複雑性科学を探究することによって、世界を認識する枠組みが随分と変化したように思うのだが、その変化はデューイの思想体系をまた違った観点から眺めることを可能にしているようだ。そのため、デューイの思想のあちらこちらに複雑性科学の発想を見出すことができ、同時に、デューイの思想体系をより深く探究していこうという気持ちが湧き上がったのである。 実は、こうした気づきをもたらしたのは、書斎の本棚に所蔵されている、インディアナ大学出版から刊行されているデューイの二冊の全集を私が直接読んで得られたものではなく、“Complexity Theory and The Philosophy of Education (2008)”に収められている “Re-reading Dewey through the Lens of Complexity Science, or: On the creative logic of education”という論文を読むことによって得られたものだ。

正直なところ、昨日は、この論文を読んで大きな衝撃を受けていた。それはもちろん、この論文によって、デューイが複雑性科学の発想を持ちながら教育哲学を打ち立てていたということに対する驚きもありながら、それ以上に、この論文の著者であるインナ・セメツキーという女性哲学者の仕事そのものに大変感化されたのだ。

私はセメツキーの名前を昨日初めて耳にし、初めて彼女の仕事を目にすることになった。セメツキーの仕事が今の私にとって重要だと一瞬でわかったのは、彼女が辿ってきた哲学者は私が以前から関心を寄せる哲学者であることと、それらの哲学者の思想体系をもとに、非常に独自な教育哲学を彼女が打ち立てていることがきっかけであった。

セメツキーは、記号論の領域に多大な貢献を果たしたチャールズ・サンダース・パース、教育哲学者のジョン・デューイ、フランスの哲学者ジル・ドゥルーズ、米国の哲学者アルフレッド・ノース・ホワイトヘッドの思想体系を探究しながら、「教育記号論(edusemiotics)」という独自の教育哲学を確立している。

セメツキーが辿っていった哲学者の全てが、まさに私がこれまで着目していた人物たちであり、実際に、書斎の本棚には彼らの哲学者が並んでいる。そうしたことからも、セメツキーの仕事に強い関心と共感の念を持ち、彼女の主著を六冊ほど購入することにした。

セメツキーが提唱した「教育記号論」というものが非常に気になるのと同時に、セメツキーの仕事を起点として、上記の哲学者が展開した教育思想について自分なりに探究を進めていきたいと思う。2017/5/28

追記

いつか複雑性科学の発想とデューイの教育哲学を架橋するような論文を執筆したい。それに向けて、複雑性科学の発想の理解をさらに深め、デューイの教育哲学の体系を深く理解することに努めなければならない。2017/6/8

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