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1096. 診断・予測に関する人間の脆弱な直観力


一日の全ての仕事を終え、これから作曲の学習と実践を行いたいと思う。先週に行われた四日間の学会に参加していた期間は、なかなか作曲に時間を取ることができなかった。

昨日あたりからようやく生活リズムを取り戻したため、再び作曲の探究に打ち込みたいと思う。今日は午後から、「タレントアセスメント」で取り上げられている論文を四本ほど読んでいた。

どれも心理統計学に関するものだが、込み入った数式は特になく、人間の能力を測定することに関する方法論や考え方の枠組みを理解することに努めていた。これは随分と前の日記に取り上げたことだが、臨床家の判断と統計的手法を用いた判断の正確性に関する論文を今日も読んでいた。

非常に大雑把な言い方をしてしまうと、神秘思想に傾斜している臨床家であればあるほど、人間の直観力の正確性を信じたいと思う傾向にありがちである。特に、人間の心を扱うサイコセラピストやコーチには、神秘思想を信奉するような者が多く、自分の直感的判断を信じたいと思う傾向が強いという印象を受ける。

以前に紹介したように、とりわけ精神病理の診断や能力の評価に関して、私たちの直観力は極めて頼りないことが多くの実証研究によって明らかになっている。私も心理統計学を学び始めるまでは、診断や予測に関して人間の直観力を信じるような傾向があったように思う。

しかし、ひとたび心理統計学の手法を学び始めると、仮に線形回帰分析という最も初歩的なアプローチを考えてみても、その結果と自らの直観力の結果を比べてみると、その差は歴然としている。

予測をしたい従属変数に関して、独立変数をたった一つだけ設けたしても、人間の直観力ではその予測はどうすることもできないのである。米国に留学していた時、私が在籍していたプログラムではないが、サイコセラピストを養成する修士課程において、心理統計学の講義が必ず必修となっていることを知った。

それはおそらく、サイコセラピストが直感的にクライアントの精神状態を診断することの限界が考慮されていたのかもしれないと改めて思う。サイコセラピストである知人の方から話を伺ったところ、日本においても臨床心理士に関する国家資格が設けられるそうだ。

専門的なトレーニングを積んでいない日本の多くのサイコセラピストは、とりわけ自身の直観力を過大に信じる傾向がある気がしてならないため、今回の国家資格の導入に伴って、最低限の心理統計的知識を学ぶ機会がサイコセラピストになろうとする者に与えられることを願う。

サイコセラピストの診断が誤ってしまうことは、大きな問題につながりかねないため、診断や予測における人間の直観力は極めて頼りのないものであることをサイコセラピストは認識しておく必要があるだろう。それはまた直感に頼りすぎるコーチにも当てはまる。2017/5/25

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