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998. 創造のリバースエンジニアリング


今日は途中の外出を挟み、午前中と午後から夕方にかけて論文の修正を行っていた。修士論文が完成するのも秒読みとなった。

今日取り掛かっていたのは、 “Discussion”のセクションである。先日のクネン先生とのミーティングで得たフィードバックをもとに、もう一度今回の研究で得られた実験結果を冷静に眺めてみることにした。

先生に先日提出したドラフトがいかに杜撰なものだったかに改めて気付かされる。今回の研究では、「状態空間グリッド(SSG)」というソフトウェアを二つの異なる種類のデータに対して適用した。

まずは、一つの種類のデータに対してSSGを適用した結果を再度眺めることを行っていた。改めて結果を眺めてみると、この間のドラフトに抜け漏れているような重要な事柄が浮かび上がってきた。

言葉を選びながら、一つ一つの文章をゆっくりと構築していった。その様子は、「筆が流れるように進んでいった」という表現とは真逆であり、「一つ一つ建築現場の足場を固めるように進んでいった」という表現が適切であった。

一つの文章を執筆しては立ち止まり、また一つの文章を執筆しては立ち止まり、それらの順番を入れ替え、表現を適切なものに変え直すというような推敲作業を繰り返し行っていた。

当初の予定では、 “Discussion”セクションを一日で修正すると計画していたのであるが、それは不可能であった。このセクションは、研究全体を振り返る素晴らしい機会を提供している箇所であり、さらには今回の研究の限界点を指摘することや将来の研究への展望などを記述していく箇所である。

そうした特性を持つセクションであるから、なおさら時間をかけて取り組みたいと思った。そして、このセクションは、研究内容への振り返りのみならず、研究者としての私自身の振り返りに直結するのだ。

そのため、このセクションをなおざりにすることはできない。このセクションとどのように向き合うかが、今後の研究者としての歩みを左右することになるだろう。

明日もこのセクションの続きの修正を、自分と向き合いながらじっくりと行いたい。 夕食前と夕食後にかけて、過去の日記記事をまとめて編集していた。それらは、今となってはもはや半年ほど前の日記記事なのだが、中には自分自身でも改めてハッとさせられるようなものが混じっていた。

特に、ここ最近の私の関心に共鳴してか、ある日の日記の中で、夢の中で大伽藍を彷彿とさせる音楽が鳴り渡っていたことに気づいた。その夢が示唆していたのは、やはり私の内側に固有の音楽が存在し、それは外側に現れることを待っているということだった。

内側の音楽を外側に表現する決意ができたのは、その夢から半年が経ってからのことだった。それもまた興味深い。

また、第二弾の書籍が構想中であった時の日記を懐かしく読んでいた。無事に六月の初旬に出版できる書籍の構想が、当時の日記の中で徐々に形になっていく様子を見て取ることができた。

主題は変わらないのだが、形式や細かな内容について二転三転あったことが伺える。最終的な書籍ができあがった今からそれらの日記を読み返してみると、創造のプロセスを逆側から辿り直すことができる。

それもまた面白い。それはまるで、創造のリバースエンジニアリングのようだった。

内側のものを外側に表現するプロセスを時間の流れに沿って探究するという道と、時間の流れに逆行する形で探究していくという道の双方を今後も歩んでいきたいと思う。2017/4/27

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