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996. 本当の歓喜へ向かって


先ほど無事に“Principles of Systems Science (2015)”を全て読み終えることができた。本書を読むのは今回が初読であり、細部を丁寧に追っていくという読み方ではなく、全体と重要な箇所のみを把握していくという読み方を採用していた。

しかし、それにもかかわらず、本書が800ページに及ぶ大著であるがゆえに、全て読み終えるのにかなりの時間を要した。だが、こうした分量のある書物でさえも、毎日少しずつそれと向かうことによって、いつの間にか全てを読み通すことができるのだ。

これは、日々の仕事を積み重ね、それが後々振り返ってみると大きなものになっていたことに気づくのと同じである。ほぼ予定通りの時刻に本書を読み進めることができたため、午前中は修士論文の手直しに取り掛かりたい。

今週中に全ての手直しを終え、最終論文のドラフトの段階にまで持っていきたい。大著を読み進めていくのと同様に、論文の執筆もまた、少しずつの積み重ねが極めて重要であることを知る。

今日やるべき箇所に関して、無事に論文の手直しを終えることができたら、残りの時間は全て自分が読みたい書籍に目を通すことに充てたいと思う。カントの “Critique of Judgment (1790)”、ジル・ドゥルーズの “Difference and Repetition (1968)”、そして非線形ダイナミクスに関する “Nonliner time series analysis (2000)”と “Dynamical Psychology: Complexity, Self-Organization and Mind (2009)”の二読目を進めることができたらと思う。 その合間に少なくとも一度、ベートーヴェンのピアノソナタの解釈書に目を通すことになるだろう。昨日は、ベートーヴェンのピアノソナタのみならず、彼が残した全ての交響曲を聴いていた。

印象に残っているのは、交響曲第6番『田園』を聞いていた時に、場所が私たちの内側に与える影響について考えさせられるような体験をしたことである。これについては、昨日の日記に書き留めていたように思う。

さらに最も印象に残っているのは、交響曲第9番を聴いている最中に自分の内側に起こっていたことだった。これはベートーヴェンが残した最後の交響曲であり、特に第四楽章は『歓喜の歌』という愛称で親しまれている。

やはりこの曲は、私にとって非常に特別なものだということに気づかされた。昨夜の夢の中で突如としてこの曲が現れたのも、この曲が私の奥深くに横たわっているからに他ならないと思う。

この曲について思いを巡らせていると、この曲の第4楽章の一部が唯一、暗譜された形で私の内側に収められていることに気づいた。私の内側に暗譜された形で曲が残っているものは、他に一切ない。

思い返してみると、第4楽章の一部を暗譜したのは小学校三年生の時であった。この曲はなぜだか当時の私を強く惹きつけるものがあり、この曲を繰り返しリコーダーで弾いていたことが、懐かしい思い出とともに蘇ってきた。 昨日も、この曲に込められた意味と力のようなものを全身に浴びせかけられるような体験をしていた。カントの思想を受け継ぎ、ベートーヴェンが高らかに歌い上げた内なる自由を獲得することがいかに難しいことなのかについて考えさせられた。

獲得することが難しいというよりも、現代人の多くは、内側の自由に目を向けることさえもしない。また、ベートーヴェンがこの曲を通じて表現する「万民はみな兄弟となる」という思想に対しても、現代社会は逆行しているように思える。

万民が兄弟となる方向に向かうどころか、分裂の方向に向かう一方だ。この曲はベートーヴェンにとって、「歓喜の歌」というよりも「嘆きの歌」なのではないかと思う。

私たちに必要なのは、これ以上ないほど力強く嘆くことのように思える。そこから始めなければならない。

現代社会を覆っているものに強く嘆くことをしなければ、本当の歓喜など訪れようがないように思えるのだ。2017/4/27

過去の曲の音源の保存先はこちらより(Youtube)

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