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990. 内発動機と外発動機


ここ数日間は、非常に旺盛な読書に打ち込むことができている。外見上はこれまでの日々と一切変わりのないものに映るかもしれない。

しかし、自分の内側では、ここ最近の読書は以前のものと幾分違った質を持っていることがわかる。それは多分に、自己の純粋な内発動機だけに従って書籍や論文を選び、それらを読み進めることができていることに関係しているだろう。

本来読書とはそのようなものを指すべきだ。決して外側から強制されるようなものではなく、自分が深めたい分野をとことん自らの意思と意志に基づいて探究していくべきなのだ。

当然ながら今の私は、大学院に留学しているという都合上、常に自分の内発的な動機だけに従うことはできない。履修しているコースで取り上げられるものは、私が選んだ論文ではないため、どうしてもそれは純粋な内発的動機に基づいた読書とは異なる性質を持つ。

ただし、私は、こうした外発的な動機によって進められる読書を完全に否定しているわけではなく、むしろ自分の専門性が固まり始めた成人期以降、ある意味、強制的に自分の専門の外に引っ張り出されるような読書体験は、自分の専門領域をさらに押し広げ、そしてその質をさらに深めることに大きく貢献するように思える。

私はフローニンゲン大学でそうした恩恵を授かっていることに対して、いつも有り難さを感じている。自分自身の内発的な動機に従って読書を進め、一つの領域を深掘りしていく過程の中で時に脇道にそれながら専門領域を拡大していくことと、強制的に専門領域の外に立たされ、その土地の観点から自分の専門領域を見つめ直し、これまで専門外として扱っていたことと既存の専門を繋げ合わせることの両方が、今の私にとっては等しく重要なことのように思える。

ここ最近までは、読書の比重がおそらく外発的な動機の方に寄っていたのだろう。前の学期が無事に終了し、さらには先週から始まった今学期のコースで取り上げられる課題論文の全てを早々に一読したことのおかげで、内発的な動機に基づく読書に打ち込むことができているのだと思う。

もちろん、現在の私が置かれている環境上、それが長く続くことはないことを知ってる。来週あたりから再び履修コースの課題論文を再読したり、課題をこなしていくことなどが求められる。

その時にはまた、外発的な強制力をうまく活用しながら、読書体験を豊かにしたいと思う。 明日の午前中は、 “Principles of Systems Science (2015)”の最終章を読み、ジル・ドゥルーズの “Difference and Repetition (1968)”の第2章を読み進めたい。そして午後からは、ダイナミックシステム理論と心理学との関係性を明瞭に解説した “Dynamical Psychology: Complexity, Self-Organization and Mind (2009)”と非線形時系列データの解析方法を解説した優れた専門書 “Nonlinear Time Series Analysis (2000)”の二読目に入りたい。

それらの読書と並行して、ベートーヴェンのピアノソナタに関する解説書にも目を通していきたいと思う。純粋な内発的動機とは、こうも人間を駆り立てるのだということに驚きを隠せない。

いや、自分が駆り立てられていることを忘れてしまうほどに、それは私たちを駆り立てるのだということに驚きを隠せない。2017/4/26

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