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972. 対象からの脱却と接近

May 4, 2017

昨日、第二弾の書籍の初校を無事に修正することができた。最初から最後まで一文一文を確認していく作業は、非常に骨の折れるものであったが、自分が執筆した文章を読み返すというのは、他者が執筆した文章を読むのとはまた違った発見があるものである。

 

今回の原稿そのものは、昨年の年末に全て書き終えていたため、文章を執筆した時の私は半年近く前の私ということになる。その当時の自分がどのような思いで、どのようなことを考えながら文章を執筆していたのかを少しばかり回想していた。

 

書籍を執筆するというのは、そこで表現される内容から離れることを意味するのかもしれないとつくづく思う。これは第一弾の書籍の時も感じていたことだ。

 

どちらの書籍も、人間の発達を取り上げたものであるため、執筆を通じて、そうした大きなテーマそのものから私が離れたという意味ではない。第一弾の書籍の執筆後に感じていたのは、ロバート・キーガンを含め、「意識の発達論者」と一括りにされる者たちの思想からの脱却が起こっていたように思う。

 

もちろん今もなお、キーガンを含め、日本で知られているウィルバー、クック=グロイター、トーバートから受けた影響が私の中から消え去ることはない。ただし、数年前のような形で彼らの理論や思想と向き合うことはもはや私にはできない。

 

彼らの理論や思想を包摂するような形で文章を書くことは、いったんそれらから離れる儀式的な意味合いがあったのだ。それは、今回の第二弾の書籍に関しても同じかもしれない。

 

今回は、カート・フィッシャーの理論と思想を主題として取り上げた。フィッシャーの理論と思想は、非常に大きな体系として私の内側の思考空間に存在している。

 

フィッシャーから私が受けた影響は、キーガンやウィルバーを凌ぐものであると言っても過言ではない。今回、フィッシャーの理論を真正面から取り上げることによって、やはりそこから離れることを可能にしたように思う。

 

以前の日記で言及したように、対象から離れるというのは否定的な意味合いを持つものではない。それよりもむしろ、対象から一度離れるというのは、対象のさらに奥に近づくために不可欠なものなのだ。

 

今でも覚えているのは、原稿を全て執筆し、筆を置いた時、そこに書かれている内容から自分が脱却したのだという確かな感覚があったことである。書籍を執筆するというのは、私にとって、対象から離れるという儀式的な意味合いがあるのだと改めて感じた。

第二弾の書籍を書き終えた直後から、私の頭の中にはすでに第三弾と第四弾の書籍に関する構想が湧き上がっていた。いつからそれらに取り組むかは明確ではないが、また近々執筆を開始したいと思う。

 

それらは、人間の発達をダイナミックシステム理論やダイナミックネットワーク理論の観点から捉えていくような書籍にしたい。おそらく今すぐに私がそれらの書籍の執筆に取り掛からないのは、それらから一度離れるという過程を踏むにはまだ早すぎるからだろう。

 

現在は、そこから離れるための前段階にある。対象との向かい方にもどうやら発達段階があるようだ。

 

今はまだ対象の中に入っていく段階であり、離れるような段階では決してない。可能な限り対象に深く入った後に、脱却を促す知らせが届くだろう。

 

その通知を得た後に、脱却のプロセスを歩みたいと思う。それが次の段階である、対象からの脱却と対象の奥にある本質への接近を可能にするのだ。

 

多くのものから脱却し、多くのものに接近していくというプロセスを、私は絶えず歩んでいかなければならない。2017/4/23

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