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966. 書くことと読むことの山脈の往来

May 1, 2017

ザルツブルグに滞在中、記念館や博物館を通じて、過去の偉大な音楽家たちの業績を辿っていた時に、インプットの量が脆弱であれば、ある時からアウトプットの量が必ず枯渇するのではないかということに気づかされた。

 

モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト等、彼らにまつわる資料を直接この目にした時、彼らが大量の楽曲を創出し続けることができたのは、絶えず音楽の探究を通じて得られた新たなインプットがあったからに違いないと思うようになった。

今日は午前中から昼食後にかけて、「成人発達とキャリアディベロップメント」と「タレントアセスメント」のコースで取り上げられている論文を読み進めていった。明日のうちに、いくつか論文を読み進めることができれば、比較的短時間で合計50本ほどの論文を読み終えたことになる。

 

昼食後から、「複雑性とタレントディベロップメント」の共同論文の修正を完成させることができた。これを持って、二つの共同論文が終了し、一昨日の段階で修士論文の方もひと段落ついたので、今日から数日間は論文の執筆に追われることはなくなる。

 

そのため、その期間に自分の内発的な動機に従って、旺盛な読書を行いたい。この期間を逃してしまうと六月の中旬を待たなければ、純粋な動機だけに従って読書をじっくり行う時間が取れなさそうなのだ。

 

というのも、数日後から、最終学期に履修している二つのコースの論文を執筆していくことになり、それらのコースが終了するのが六月の中旬だからだ。

今日の夕方から、非線形ダイナミクスに関する論文を一つほど読んだ。その論文を読みながら、ザルツブルグでの国際学会で大変お世話になったステファン・グアステロ教授が執筆した書籍の中で、まだ読んでいないものについて強い関心が立ち現れた。

 

グアステロ教授が執筆した書籍の中で、これまで読んできたのは、 “Chaos and Complexity in Psychology (2009)”と “Nonlinear Dynamical Systems Analysis for the Behavioral Sciences Using Rael Data (2011)”の二冊である。

 

どちらも、ダイナミックシステム理論と非線形ダイナミクスに関する専門書であり、それらの領域と心理学を架橋する試みに従事している研究者にとって必須の二冊だろう。ただし、それらの二冊は、グアステロ教授が編集者として関わり、彼の論文が収められているのはいくつかの章だけである。

 

学会を契機として、グアステロ教授とやり取りをさせていただくまで、彼の仕事に深く注意を払ってきたわけではなかった。学会の休憩中等を含め、グアステロ教授と会話をすることによって、彼の人柄と専門性に惹かれるものがあり、より深くグアステロ教授の仕事を理解したいと思うようになった。

 

そうしたこともあり、今日の夜に、グアステロ教授の単著 “Chaos, Catastrophe, and Human Affairs: Applications of Nonlinear Dynamics to Work, Organizations, and Social Evolution (1995)”と “ Managing Emergent Phenomena: Nonlinear Dynamics in Work Organizations (2002)”を購入した。

 

私がグアステロ教授のことを尊敬しているのは、何もダイナミックシステム理論と非線形ダイナミクスに関する専門性の高さやそれらを活用した研究だけにあるのではない。私が特に共感を持つのは、彼の関心領域の一つに、ダイナミックシステム理論や非線形ダイナミクスの研究を組織開発やリーダーシップ開発などの実務分野に積極的に応用していることだ。

 

その他にも、チームダイナミクスや組織内でのパフォーマンスやモチベーションの非線形的発達現象に関する応用研究とその成果を実務的なコンサルティング活動につなげている。それらの点は、私も絶えず視野に入れていたことであった。

 

注文した二冊の書籍が届くまでにはもうしばらく時間がかかるため、腰を据えて読むのはもしかしたら六月を迎えてからかもしれない。とりあえずこの数日間は、再度フランスの哲学者ジル・ドゥルーズの “Difference and Repetition (1968)”とベートーヴェンのピアノソナタの解釈書を読み進めたいと思う。

 

毎日があたかも、大量に書くことと大量に読むことの二つの山の頂点を行き来するような日々である。両者の間に谷はなく、二つの山の往来がさらに高い山脈を築き上げていく。

 

私はその往来を見守り、実際に山々を歩く主体に過ぎない。2017/4/21

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