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887. 手を動かして学ぶことの意義


昨日は、午後から研究論文の執筆を進めていた。当初は、ダイナミックシステムの挙動の特性やアトラクター状態の有無などを検証するための、「状態空間グリッド(SSG)」に関する章の修正を全て終えるつもりであった。

しかし、それに着手してみると、意外と手間のかかる作業であった。先日、論文アドバイザーのサスキア・クネン先生から、この章についてフィードバックコメントをいくつかもらっていた。

ワード上に変更履歴として残っている先生のコメントとミーティング中における先生のコメントをもとに、加筆・修正を行うことにした。SSGというソフトウェアを活用すると、いくつかの指標に対する数値結果が自動的に算出される。

今回の研究では、五つの指標に絞ることにしている。最初のドラフトでは、それらの指標の意味については説明をしていたのだが、SSGに馴染みのない論文の読者もいるであろうから、その算出方法についても説明しておいた方がいい、というアドバイスをクネン先生からいただいていた。

普段このソフトウェアを活用する際には、それらの指標は自動的に出力されるため、改めてそれらの算出方法を説明するというのは、意外と難しかった。仮にそれらの算出方法が、簡単な数式によって導かれたものであったとしても、改めてその数式の意味にまで立ち返って考えてみると、意外とその算出方法をきちんと理解していないことが判明した。

そして、指標の算出方法の曖昧な理解が、結局のところ、指標の意味そのものに対する理解を曖昧にしていたことに気づかされたのだ。そのため、私はもう一度、五つの指標の算出方法にまで立ち返ることにした。

SSGに関する専門書を逐一確認し、実際に手計算をしながら、算出方法を辿るということを行っていた。幾つかの項目で、どうしても算出方法がすんなり理解できないものがあり、四苦八苦していた。

試行錯誤を長い時間繰り返していると、ようやく、出力された数値がどのように導かれたものなのかを把握することができたのだ。この作業に多くの時間を費やしていたため、当初の計画通りに編集作業が進まなかったが、この作業のおかげで、指標の算出方法を自分の手を動かしながら理解するということは非常に大事であるということに気づくことができた。

手を動かすというのは、特に数値を出力する研究手法の理解を深める上で不可欠なことなのかもしれない。今回の研究では、もう一つ「交差再帰定量化解析(CRQA)」という手法を活用する。

この手法を用いることによって、二つのシステムのシンクロナイゼーションに関する幾つかの指標が出力される。CRQAについても、各指標がどのように算出されたのかを、数式の意味を表面的に追いかけるのではなく、実際に手計算で指標の算出方法を確認することが重要だろう。

CRQAの方は、その背後に若干難解な数学理論があるため、こちらも一筋縄ではないかないだろうが、自分が研究で用いる手法に対しては、各指標の意味だけではなく、その指標がどのように導かれたものなのかを深く理解しておきたいと思う。そうでなければ、論文を執筆している最中に、やはり意味が曖昧になってしまうだろう。 今日は午前中に、本来であれば昨日取り掛かりたかった、SSGを活用したアトラクターの判別方法の箇所を執筆したいと思う。この箇所もまた厄介なことは承知だが、昨日と同様に、自分が研究の中で行っている手続きに関しては、焦ることなく確実に理解を深めていくようにしたい。2017/3/29

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