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867. 探索と関与を通じたキャリアディベロップメント


昨日の「複雑性とタレントディベロップメント」のクラスで行われたグループ課題について少しばかり振り返っていた。この課題は、まずは各人が自分のキャリアディベロップメントの変遷を振り返ることからスタートした。

具体的には、12歳から現在までの年齢を横軸に取り、「探索(exploration)」と「関与(commitment)」という二つの概念を縦軸に取り、年齢ごとにそれらの概念の強度がどのように変化したのかを示すグラフを描くことからスタートした。

グラフを描いている最中、そういえば当時の自分がどのような環境に置かれ、どのようなことを考えながら生きていたのかについて回想していた。完成したグラフを見ると、探索にせよ関与にせよ、変動性に富んだ形となった。

このグループ課題の前に、サスキア・クネン教授からキャリアディベロップメントについて説明があったのだが、探索と関与の度合いの組み合わせに応じて、キャリアディベロップメントの種類を幾つかに分類することができる。

例えば、探索の度合いが強く、関与の度合いが低い場合は、キャリアディベロップメントがモラトリアムの時期にあることがわかるだろう。逆に、探索の度合いが低く、関与の度合いが高いというのは、良かれ悪しかれその仕事のみに自分のキャリア形成のエネルギーが注がれていることなどがわかるだろう。

私は同じ座標平面上に二つのグラフを描き、両者を比較してみると、これまでは探索と関与が重なり合うことはほとんどなかった。つまり、キャリア形成に関して探索の時期にあれば、関与の度合いが低く、一方、特定の仕事に関与している時期には、探索の度合いが低いという傾向が見えたのだ。

しかし、直近の数年間のグラフを見ると、探索と関与が重なり合い、二つの度合いがともに向上していることに気づいた。すなわち、今の私は、自分の仕事に深く関与しながらも、同時に幅広い可能性を探索している姿がグラフから見て取れたのである。

今の自分の状況を客観的に眺めてみると、これは的を得ていると思った。なぜなら、今の私は人間発達に関する研究者と実務家としての仕事に関与しながらも、仕事に取り組みながら、自分の関心領域や専門領域を絶えず拡張しようとする探索運動を常に行っているからである。

同時に、今回の課題の範囲を超えて、それでは次の十年に関して、自分はどのような歩みを踏み出そうとしているのかを考えていた。すると、次の十年においても引き続き、探索と関与が重なり合いながら上昇していく姿が浮かび上がった。

大きな偶然だが、昨夜衝動的に、これからの十年間において、どの国でどの大学を拠点に活動するのかをノートに書き出していたため、そのページを見返してみると、探索と関与が高い度合いで維持されていく様子が見て取れた。

しかし、探索運動が生涯にわたって継続していくことを知りながらも、おそらくその後からは、関与の度合いが探索を上回るのではないかと思っている。フローニンゲン大学での一年目も、いよいよ来学期が最後のものとなる。

最後の学期には、まさに上記の論点と関係した「組織におけるキャリアディベロップメント」と言う産業組織心理学のコースを一つ履修する予定だ。このコースを通じて、アイデンティティの発達に関する理論をもう一度学び直し、このコースは、自分のこれからを考える上でも非常に有益なものとなるだろう。

少なくとも後十年間は、探索と関与の高波の中で生きていくことになりそうだ。2017/3/23

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