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846. 雲の上の不動の境地とブダペストでの生活可能性について


今視界に入っている雲は、奇妙かつ不思議な階層構造を持っている。夕方の仕事がひと段落し、書斎の窓から空を眺めると、幾つもの重層的な雲がそこにあった。

遠方の空を見ると、一番下に白色の雲があり、その次に、今にも雨を降らしそうなどす黒い雲があり、その上には再び白い雲が姿を見せていた。そして、そうした階層のさらに上には、青空が広がっているのがわかった。

幾層にも重なった雲は、ゆったりと右から左へ移動している。だが、姿をわずかばかり見せている最も上に位置する青空は動かない。空は不動なのだ。

こうした階層構造は、自然界のみならず、私たちの知性や能力の発達にも等しく見られる。下位の階層は、上位の階層が生まれるための前提条件であり、下位の階層がなければ、上位の階層が生まれることは決してない。

この話は、ちょうど先ほど、“Principles of systems science (2015)”の第四章を読んでいた内容と幾分関係することだと思った。知識の体系にせよ技術の体系にせよ、より高度な階層構造を獲得するためには、下位構造の存在が鍵を握る。

より正確には、どのような質の量を持った下位構造なのかによって、上位構造の出現が左右されるのだ。本書の第四章は、ネットワークとシステムの関係性を扱っている。

人間の発達をシステムとみなすことは、それをネットワークとしてみなすことと同じだということに気づき始めている。なぜなら、システムというのは必ず構成要素を持ち、それらはネットワーク関係を構築しているからである。

人間の発達について理解を深めようと思えば思うほど、システム科学の知見が不可欠となり、それは同時に、ネットワーク科学の知見が不可欠であることも意味している。 少し前に、ネットワーク科学に関する博士号が、欧米の少数の大学で取得できることについて言及していたように思う。ネットワーク科学の代表的な研究者であるアルバート・ラズロー・バラバシが執筆した “Netowork sicence (2016)” を読むと、今のところ、二つの大学でネットワーク科学の博士号を取得することができると書かれていた。

どちらも共に、バラバシ自身が関与しているものであり、一つはボストンにあるノースイースタン大学であり、もう一つはブダペストにある中央ヨーロッパ大学である。今の私は、人間発達のプログラムの傘下で博士号を取得するのか、ネットワーク科学のプログラムの傘下で博士号を取得するのか迷っている。

仮に後者の道を辿るのであれば、私は迷わずブダペストの中央ヨーロッパ大学を選択したいと思う。ボストンという立地も魅力的ではあるが、それ以上に、ハンガリーのブダペストの方が今の私には魅力的に映る。

欧州で生活を始めて以降、やはり欧州で探究を継続させたいという思いが強くなっているのだ。自分の将来はいつも予想通りにはいかないため、オランダでの三年間を終えた後に、米国に戻るのか、ブダペストを第一候補にしてハンガリーに行くのか、それらはその時を迎えてみなければわからない。

そのようなことに思いを巡らせていると、先ほど書斎の窓から見えていた、階層構造を持つ雲が色と姿を変えていた。不気味な雨雲の占める割合が小さくなり、雲の上に見える空の割合が増えていた。

私の眼には、雲の上にある世界は、どこか不動の境地のようなものに映った。私たちの発達において、その階層構造の究極的な地点は、きっと空のような不動の境地なのだろう。2017/3/18

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