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726. 日々の取り組みへの確信


今学期は前の学期と異なり、夕方からのコースが一つある。今日参加したのは、「複雑性科学とタレントディベロップメント」というコースであった。

このコースは元来、過去数年間オランダ語でのみ提供されていたものであるが、今年から英語での履修を希望する学生が4名以上いた場合には、英語でも開講するという話を半年前に聞いていた。

私がフローニンゲン大学に来た最大の理由は、複雑性科学の観点——ダイナミックシステムアプローチや非線形ダイナミクス——から発達現象を探究することであった。以前の学期に履修していた「複雑性と人間発達」というコースは、まさにその目的に合致したものであり、今回の「複雑性科学とタレントディベロップメント」というコースも前回のコースの延長線上にあるようなものである。

そのため、複雑性科学の観点から人間発達についてより理解を深めるために、このコースをどうしても履修したかったのである。なんとか英語での開講にこぎつけるため、同じプログラムに属している友人やオランダ語で提供されている発達心理学のプログラムに在籍するオランダ人を勧誘していた。

結果として、英語で開講できる人数を確保することができ、無事に英語でこのコースを履修できることになったのはとても喜ばしい。

今日は初回のクラスであったが、期待していた通り、内容が非常に濃いものであった。マライン・ヴァン・ダイク教授とラルフ・コックス教授は、発達心理学に造詣が非常に深く、同時にダイナミックシステム理論にも造詣が深い。

特に、コックス教授は、以前紹介したように、非線形ダイナミクスに関する数学的な理論や技法に精通している。今日のレクチャーは、主にコックス教授が担当したのだが、前回の「複雑性と人間発達」のコースと同様に、いつもコックス教授からは大きな刺激を受ける。

正直なところ、彼が述べていることを全て理解することはできないのだが、理解できない点を今後の課題にすることによって、発達現象に対する自分の理解の裾野が格段に広がり、なおかつ重層的なものになっているのを実感する。

まさに、今日のクラスの中でも取り上げられたのだが、発達というのは多階層的なプロセスであり、各々の階層は互いに独立していながらも相互に影響を与え合っているのだ。例えば、自分が持っている知識体系を考えてみた場合にも、ある上位概念の理解が進むことによって、下位概念の理解が進むことが起こっていたり、その逆も起こっているのだ。

あるいは、概念が上下関係を成していなくても、階層が違う場所に属している知識の理解は、基本的には独立して深まっていくが、その過程の中で相互作用が見えないところで生じており、二つの知識がさらに高度なものに変貌を遂げていることを経験することがある。

そのような知識の多階層的な発達プロセスを経験しているのは確かであるが、同時に、やはり自分の知識体系は非常に脆弱であると今日も実感した。自分が構築している発達心理学に関する知識体系を客観的に眺めてみると、大きな穴がいくつも開いていることがわかる。

ここ最近、ようやく発達心理学の全体像を頭の中に描くことができつつあるのだが、それが幸か不幸か、自分の知識体系の不十分さを痛感させてくれるのである。それらの穴の所在を含め、自分が今後何を学習していけばいいのかが見えていることは一つの救いである。

発達心理学のみならず、複雑性科学に関する知識体系を堅牢なものにしていくのは、より時間のかかるプロセスであり、そちらに関しては、まずは強固な土台を構築していくことが何よりも重要な作業となるだろう。

論文や書籍と日々触れ合う中で、それらの知識項目が、自分が頭に描く全体像のどこに位置するものかを把握しながら、建築材料をどこに・どのように配置するのかを常に意識した取り組みが大切になる。同時に、知識体系の階層構造を含め、全体像そのものを日々更新していくことすらも要求されているのかもしれない。

自分の内側に知識体系を構築していく試みは、一生涯をかけて行われるものであるという認識が以前よりも増して強くなっている。そのため、現状の自分の知識体系の脆弱さと貧困さに対して過度に落胆することもなく、焦らず着実にこの試みを遂行していこうという思いに至っている。

というのも、私は毎日の自分の取り組みをようやく信じられるようになってきたからだ。2017/2/8

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