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714. フローニンゲン大学へのコンサルティングサービス


昨日に今学期の最終試験を終えたばかりなのだが、今日も早朝から、普段と全く変わらない生活リズムで仕事に取り組んでいた。

昨日の最終試験であった「複雑性と人間発達」というコースでは、必読文献以外に、担当講師のラルフ・コックス教授から15本程度の参考論文を紹介してもらい、さらに、最後のクラスで短いレクチャーをしてくれた博士課程のバートからも幾つかの論文を紹介してもらっていた。

それらの論文は全て、以前に一読していたのであるが、一読しただけでは消化不良な箇所が多くあるため、試験が終わってから再度じっくりと読みたいと思っていた。そのため、今朝はそれらの論文に目を通すことを行っていたのだ。

数年前から少しずつダイナミックシステムアプローチに関する学習を進め、今回のコースを履修することによって、幸いにもダイナミックシステムアプローチの言語体系が徐々に自分の内側に馴染み始めたことを実感している。複雑性科学の様々な概念や理論の意味がより深い階層で掴めるようになり、自分が何かの事象を見た際に、それらの概念や理論を組み合わせながら新しい意味を作ることができつつあるように思う。

ただし、今回のコースで本格的に触れることになった非線形ダイナミクスの研究手法については、理解がまだまだ足りていないと実感している。非線形ダイナミクスで登場する数々の手法を理解する前に、その手法を構成する数学的な発想や背景知識についてより理解を深めなければならない。

午前中に読んでいた論文は、まさにそうした私の課題意識と合致するものであり、今朝の文献調査を通じて、また新しい観点を獲得することができた。おそらく、研究者として今後活動をしていくとなると、こうした新たな観点の獲得はもはや避けようのないことなのかもしれない。

当然ながら、観点の獲得はきりがない試みである。ただし、研究の最中で自分が直面する研究課題を克服していく際に、既存の観点だけでは不十分なことが往々にしてあり、その際に新たな観点が突破口の役割を果たすことは確かなようである。

私にとって、数多くの観点や新たな観点を獲得することが重要なのではなく、兎にも角にも、獲得された観点と既存の観点を組み合わせることや、新たな観点が既存の観点を深めてくれる形にしていかなければならない。それを肝に銘じておく必要があるだろう。

今日の午後からは、フローニンゲン大学のMOOCを統括するディエナム教授の研究室で面談を行った。具体的には、フローニンゲン大学のMOOCが抱えている課題を聞きながら、自分の研究アイデアを醸成するようなことを趣旨にしたミーティングである。

ディエナム教授の研究室に到着し、まずは簡単にお互いの自己紹介をした。ディエナム教授の自己紹介を聞くまで知らなかったのだが、ディエナム教授はオランダ人ではなく、フリジア人だったのだ。

フリジア人については、随分前の日記に書いていたように思うが、現在でもオランダの北西部にフリジア人が住んでいる地域がある。フリジア人はフリジア語という独自の言語を持っており、ディエナム教授曰く、幼稚園からオランダ語と英語を含めて、三ヶ国語を学ぶ教育を受けているそうである。

生粋の日本人の私からしてみれば、それらの三ヶ国語を同時に学ぶことは難しいように思える、とディエナム教授に伝えると、それらの言語はどれも似通っており、習得にはさほど苦労はしない、という返答を受けた。

英語という言語体系が徐々に私の日本語の言語体系と近づいてきている状況にあったとしても、オランダ語を習得していくことは依然として私にとって難しいと思いながら、本題に入った。

私はてっきり、こちらの研究アイデアを元にミーティングを行うものだと思っていたのだが、様子が少しばかり違った。本題に移った途端、ディエナム教授から、フローニンゲン大学のMOOCが抱える現在の課題について話があったのだ。

ディエナム教授を含め、フローニンゲン大学のMOOCチームが抱える悩み相談を受ける形となり、そこに私の研究を関連づけていく方向になりそうである。話を聞くと、端的に悩みをまとめると、大量のデータがあるのだが、どのような観点からどのような手法を用いてそのデータを分析していけば良いのか五里霧中である、とのことであった。

私は思わず、「それは良い知らせですね」という言葉が喉元まで出かかったが、それをぐっとこらえて、ディエナム教授が次から次に述べる課題に耳を傾けていた。確かに、世界中から数千人を超す人たちがフローニンゲン大学のMOOCを受講し、彼らの受講動機は様々なのは間違いない。

さらには、MOOCを提供する側の大学も、コースによってその目的を変えているため、問題を一つに絞ることは容易ではない。だが、私から見れば、大量の定性的・定量的データがすでにあることは良い知らせであり、どのような観点からどのような手法を用いてデータを分析していけば良いのかわからないというのも、私にとっては良い知らせであった。

というのも、データを分析する観点に関しては、すでに私の中で多くのものがあり、なおかつ、データを分析する手法に関しても、ダイナミックシステムアプローチや非線形ダイナミクスの手法などの、既存の統計学の手法では扱うことのできない種類の問いに答えるデータ解析手法をこれまで学習していたからである。

今回、そもそも私がディエナム教授にコンタクトを取ったのは、半年後から始まる二年目のプログラムの中で、フローニンゲン大学のMOOCに関する研究を行いたいという打診をするためであった。ところが、単なる純粋な学術研究ではなく、フローニンゲン大学へのコンサルティングを兼ねた、課題解決型の学術研究になりそうである。

現在の私としては、課題解決型の研究は大変魅力のある話であった。なぜなら、ダイナミックシステムアプローチや非線形ダイナミクスの研究手法を、学習と人間発達という大きな観点の下、様々な実務領域の課題を解決するために応用させたいという思いがあったからである。

不思議なもので、ダイナミックシステムアプローチや非線形ダイナミクスを活用したコンサルティングサービスを、大学のオンラインコースに対して提供することになるとは思ってもいなかったが、きっとこれも何かの縁であり、何かの導きだろう。2017/2/3

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