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695. 今日も明日も同じ道、違う道


今日は午前中に引き続き、昼食後から夕方にかけて、「複雑性と人間発達」のコースの全講義内容に関する振り返りを行っていた。この分野は現在の私の関心を最も強く引くものであるためか、時間を忘れて講義資料の振り返りに没頭していた。

振り返ってみると、このコースの受講前は、応用数学に関する知識を十分に持ち合わせておらず、講義の中で取り上げられる概念をすぐさま理解できない自分がいた。

しかし、講義の進行に合わせて、取り上げられた一つ一つの概念を自分なりに掴んでいくために、数学や物理の論文を読み込んでいくことによって、理解が徐々に深まり、気づかぬうちに、研究や実務に活用できる段階にまで知識の活用度を高めることができたことを嬉しく思う。

そうした振り返りの最中、ダイナミックシステムアプローチや非線形ダイナミクスの手法を中心とした応用数学の理論と技法を活用すれば、発達現象がここまで解明できてしまうのかという驚きとともに、応用数学の力の範疇を遥かに超え、それでも解明できないことが発達現象の中に依然として残り続けていることに対して、思わず驚嘆の声を漏らした。

前者の驚きに関して言えば、既存の発達心理学の範囲に留まっていては、もはや発達現象の大部分を見逃すことになるという確信を持っている。皮肉なことに、発達心理学の枠組みに閉じた形で探究をしていては、結局のところ、発達現象について多くのことを見落としてしまうことになってしまうのである。

そうした限界を乗り越えていく際に、ダイナミックシステムアプローチや非線形ダイナミクスの発想や手法は極めて大きな意味を持つ。実際に、これまで私が関心を持っていながらも、それをうまく説明する言葉が発達心理学の世界に存在していなかったり、関心を持った現象を研究するための手法などが既存の発達心理学の領域には欠けていることが頻繁にあったのだ。

それを補完する存在として、複雑性科学を中心とした、複雑かつ動的なシステムの挙動を捉える応用数学はとても有益である。「複雑性と人間発達」のコースの中で学習した手法を用いて、自分の研究データを解析してみると、これまで見えなかったことが可視化され、探究上の大きな喜びを得たのは疑いようのないことであった。

ダイナミックシステムアプローチや非線形ダイナミクスの領域が持つ深さを考えると、今後長らく私は、この領域を地道に開拓していくのだと思う。しかし同時に、そうした探究を進めていても、それでもわからないことが人間の発達現象の中に無限に存在していることにも気づくのだ。

私は本当に、終わりのない探究の道に足を踏み入れてしまったようである。ただし、それでもこの道を歩かせようとする働きかけが私にもたらされていることも、疑いようのない真実なのである。だから今日もその道を歩き、明日もその道を歩くのである。2017/1/28

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